火山国である日本の地熱資源量(2347万kW)は米国(3000万kW)、インドネシア(2779万kW)に次ぐ世界第3位だ。にもかかわらず、地熱発電の設備能力は米国、インドネシアが資源量順位と同じ1位、2位なのに対し、日本は、資源量が4分の1のアイスランド(580万kW)や7分の1のイタリア(327万kW)も下回る10位にとどまっている。人口37万人のアイスランドは電力供給の7割以上を地熱発電で賄っており、安価な電力を国民に供給している。人口規模が全く違うアイスランドとは単純に比較できないが、日本にとっては数少ない貴重な国産の再エネ資源なのに、なぜ開発が進まないのだろうか?
https://geothermal.jogmec.go.jp/information/plant_foreign/https://www.globalnote.jp/post-3238.html 結論を一言で言えば、原因は「温泉利権」との利害衝突である。日本は火山性熱源に温泉利権が張り巡らされ、温泉の枯渇を懸念する温泉旅館組合や地元行政の反対が強いため、地熱発電開発が思うように進まない。地熱発電の熱源は地下深い場所から汲み上げることが多いため、実際に温泉に影響があるかどうかはやってみないとわからないのだそうだ。
https://courrier.jp/cj/325542/?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=325542&utm_content=nippon 日本の温泉地は全国約3000、源泉は2万7000もあると言われ、古くは約6000年前の縄文遺跡からも温泉の痕跡が見つかっており、古事記や日本書紀にも温泉に関する記述がある。温泉は日本古来の文化であり、今でも重要な観光資源だ。豊富な水資源と火山性熱源をともに有する結果、自然に湧き出る温泉が多く、それを頼りに旅館を経営する人々にとって、温泉資源の枯渇はまさに死活問題だろう。
温泉の出る他国はなぜこうした問題があまり聞かれないのだろうか。
米国では中西部のロッキー山脈の中に温泉地が点在する。私も留学生だった時に、米アーカンソー州の温泉リゾート地、ホットスプリングス(都市名が「温泉」!)を訪れる機会があり、公共の屋外温泉プールに入ったが、米国の「温泉」とはまさにこうした温泉を使った温水プールのことだ。せいぜいスパリゾート施設である。プールと言っても普通のプールのようにバシャバシャ泳ぐ人はさすがにおらず、利用者は高齢者ばかり。全員水着を着て、当然男女混浴で、ぬるめの温泉プールにゆったりと浸かっている。
元々は先住民のネイティブ・アメリカンが湯治に利用していたらしいが、南北戦争の後にはここに陸軍・海軍病院が開設されたという。要は傷痍軍人の療養施設だ。19世紀後半以降、この地にはギャングが住み着き、市政も腐敗して違法カジノや売春がはびこったというが、第二次世界大戦後には浄化運動が起こり、1960年代には一掃された。湯治場として栄枯盛衰を繰り返しながらも、米国の温泉リゾートは基本的には怪我人や病人の療養や高齢者の保養という意味合いが大きく、入浴の習慣がそもそもない一般の人々のリゾートとしては定着していない。
イタリアにも古代ローマ時代から温泉が普及していたことは、映画にもなった『テルマエ・ロマエ』でも描かれたが、やはり日本のような入浴文化はない。ただ、温泉に効能があることは早くから知られ、米国と同じように医療療養施設のプールやスパはあり、医療保険の対象にもなっているという。無料の露天温泉も多いとか。誰も施設開発をせず、自然に湧き出ている沼や川などが多いようだ。
https://www.adomani-italia.com/blog/column/onsen-1/ そもそも日常的に入浴したり、温泉をこれほどよく利用する民族は世界でも日本人だけらしい。これほど多くの温泉地や温泉旅館があり、病気でもない一般の人々がこれほど温泉旅行を楽しんでいる民族は日本人以外にはないということだ。地熱発電設備が入り込む余地がないほど、日本人は地熱資源を温泉としてフル活用しているということでもある。温泉は健康にもよいので守るべき文化だろう。
温泉が枯渇しない範囲で科学的に熱資源を管理しながら、地熱発電利用と共存する方法はないものかと思う。
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先述したフィボナッチ数列や黄金比率、チューリングの数式以外にも、「12」という数字の謎も興味深い。
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年月や時間、星座、干支、計量単位、音律にも… 年月や時間は今でも12進法だし、星座や干支(十二支)もそうです。1971年まで英国通貨の1シリングは12ペンスだったし、現代でも1フィートは12インチ、貴金属や宝石の計量に使用される1トロイポンドは12トロイオンス。ダースやグロスも12進法ですね。
数詞でも英語で11はeleven、12のことはtwelveだが、13以上になるとthirteenというように表現が変わりますよね。つまり12までで一区切りとなっており、これはドイツ語やオランダ語、スウェーデン語などのゲルマン語派の数詞も同様です。
音律も12進法です。ピアノなら1オクターブで白鍵が7、半音の黒鍵が5の計12音階です。1オクターブ上がれば周波数がちょうど2倍になるそうです。1オクターブを12等分したのが12音階で、これは「平均律」と呼ばれています。現代の殆どの楽器はこの原理に基づいて数学的に弦などの長さや太さが調整されているんですね。
https://web.quizknock.com/octave◾️
神話や伝統、陪審員の数まで さらには、少し話が逸れますが、ギリシア神話はオリンポスの12神だし、イエス・キリストの弟子も12使徒で、ユダヤ人は12氏族から成るとされていますね。恐らくそれらが起源となって英米の裁判陪審員は今でも12人です。仏教にも「十二縁起(因縁) 」や「十二神将」があり、宮中には「十二単衣」もありますよね。飛鳥時代の推古天皇の時代には「冠位十二階」もあったし、戦国最強と言われた「武田二十四将」は12の倍数です。
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起源は月が地球を1年に12回転することか なぜ12という数字をこれほど人類は多用するようになったのか? 恐らくその起源は、月が地球を1年間にほぼ12回転することから来ているから、という説が説得力があるように思えます。地球から見ると月の満ち欠けは1年間に12回繰り返される。古代から人類は天体を観測するなかでこのことに気付き、主に農業のための暦に使ったため、今でも暦や時計は12進法のままだし、それが計量単位にもなった。
角度も円の1周が360度で、時計と同じ12進法(12×30)となっている。これは古来、地球が太陽の周りを一周する1年を360日と定義したことからきているといい、地球が1日で太陽の周りを回転する角度が1度となる。
人類は12進法を使ううちにそれが生活リズムとなり、12は特別な数字となっていったのでしょう。
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割りやすく、数えやすい便利な数字 もう一つ、12は平等に分けやすい平和的な数字でもあるとの解釈も。2~4人までなら平等に分割できる数字だから古来親しまれてきた、とも言われます。ちなみに360度や360日(より正確には365日)として使われた360という数字も、1 から 10 までの数のうち割り切れない数は 7 だけという使いやすい数字でもある。
さらには、指を用いて数字を数える際に、片手の人差し指から小指の節がそれぞれ3節あり、3節×4本=12であることが数えやすかったから、との説もあるようです。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56797?site=nli
NHK-BSプレミアム「ヒューマニエンス」で昨年11月に放送された「“数字” 世界の秘密を解くチカラ」を再放送でみたが、面白かった。
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フィボナッチ数列が自然界に多く存在するのはなぜか? 番組でも紹介されていた「フィボナッチ数列」のことは、世界的ベストセラー小説で映画化もされた『ダ・ヴィンチ・コード』の中でも「神の数列」として紹介されていたのを覚えている。イタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチが1202年に『算盤の書』(Liber Abaci) にその概念を書いたことでそう呼ばれているが、実はフィボナッチよりさらに500年ほども前にインドの学者、ヘーマチャンドラ (Hemachandra) が韻律の研究から発見し、書物に記していたことが後にわかっている。
0を発見(発明?)したのもインド人だし、現在世界で広く使われているアラビア数字も元々はインド数字である。インド人の数学的センスは古来から優れていたのは間違いない。
フィボナッチ数列は1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144……と、隣り合った数同士を足していく数列だが、なぜかこの数が草花の花びらの数のほか、ひまわりの種や松ぼっくりの鱗の列数、ウサギの繁殖の増え方、樹木の枝分かれの数など、なぜか自然界に数多く存在していることが知られていた。しかも、この数列の隣り合った数字同士の比率はやはり自然界に多く存在し、人間が最も美しいと感じると言われる1.618033…の「黄金比率」に近付いていく。

フィボナッチ数列は樹木や草木のみならず、人体の気管支や血管の枝分かれの仕方にも当てはまり、またフィボナッチ数列から導かれる「黄金螺旋」は植物の葉のつき方や人間のDNAの二重螺旋構造、台風の渦巻き、銀河の渦巻き……など、自然界のあらゆるものに見られるという。「神の数列」と言われる所以だ。自然界だけでなく「ミロのヴィーナス」や「モナ・リザ」、パルテノン神殿、サクラダ・ファミリア、エジプトのピラミッド、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」に至るまで、古今東西の傑作美術の構図や建築の設計にもよく当てはまるという。
https://forest-clinic.jp/knowledge/etc/post-605.html



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細胞がフィボナッチ数列の計算をしていた! このフィボナッチ数列や黄金比率のことは古くから知られていたが、2021年にはガーベラの細胞分子レベルの成長プロセスを解析した研究論文が発表されたことも「ヒューマニエンス」で紹介されていた。ガーベラの花びらの数は右巻き34枚、左巻き55枚とやはりフィボナッチ数列と一致しているが、花びらがリング状の原基に出来ていく順番や位置取りが、完全に黄金螺旋と一致していたという。ゲスト出演していた大阪大大学院の生物学者、近藤滋教授は「細胞が本当にフィボナッチ数列の計算をしていたんです」と解説。その結果、多くの花びらが最も効率的に太陽光を浴びることができる位置に配されることになるという。フィボナッチ数列が生物の設計図であるDNAに組み込まれているという、まさに「神の数列」であることを分子レベルで実証したことになるらしい。

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チューリングの数式も人間や動物の身体構造原理に 自然界にはフィボナッチ数列以外にも多くの数式が潜んでいるという。シマウマの縞模様やチーターの斑点模様もその一つで、その模様のできる法則を世界で最初に数式で示したのが英国のアラン・チューリング(1912ー54年)。チューリングはコンピューターの誕生に重要な役割を果たしたほか、ナチスドイツのエニグマ暗号を解読したことでも有名な天才数学者。2019年から英50ポンド紙幣の肖像にもなっている。


チューリングの論文発表から40年近く経ってから、熱帯魚の縞模様の観察でその数式の正しさを科学誌『ネイチャー』の発表論文で実証したのが、前述の近藤教授だ。シマウマの縞模様もチーターの斑点もまだら模様の生き物も、ほぼ全ての動物の模様ができる原理は全く同じ規則的な波形の原理であり、チューリングの数式で説明できるという。



この数式は、人間を含む動物の指や指紋のでき方、血管の間隔、肺組織の広がり方などにも関係しているとの研究報告もあるという。

もちろん、生物はこの原理だけで全てが説明できるわけではないものの、例えば他にも背骨、肋骨、関節など等間隔にできる身体構造は、全て「チューリング・パターン」の原理でできているのだという。
「チューリングおたく」を自称する近藤教授によると、DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の四つの塩基配列によって決定されているが、AとT、Gと Cはそれぞれペアになっているので、基本的にはコンピューターと同じ2進法になっている。
とすれば、人間を含む自然や宇宙は、そもそもアナログではなく実はデジタルで出来ているということになるのかもしれない。