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ピッチクロック導入に見る米国経営の強みと日本の弱み

Posted by fukutyonzoku on 07.2023 スポーツ 0 comments 0 trackback
 MLBが今季からピッチクロックを導入。LAエンジェルスの開幕投手を務めた大谷翔平が早速投打両方で違反を取られるなど、混乱の開幕となった。しかし開幕15試合の平均試合時間は2時間45分と昨季より26分短縮され、はっきり効果が表れた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b0752454b4b45d609505420abfa30ef5ebcc32c4
 ルールを大きく変えれば、当然反発は起こる。実際、選手会の反対は強く、このアイデアは長年実現されずにきたが、MLBコミッショナーがやや独断的に昨季のマイナーリーグで試行。時短効果が確認され、今季からのメジャーへの本格導入に繋がった。MLBにとって試合時短は宿年の経営課題で、これまでも申告敬遠の導入など反対が多かったルール変更を断行してきた。しかし明確な時短効果が表れず、「最後の切り札」的アイデアだったピッチクロック導入に踏み切ったのだ。
 今回のWBC決勝の大谷とトラウトの対戦で仮にピッチクロックが導入されていれば、大谷の投球間隔は全球違反だったそうだ。「あの場面のように、緊迫した場面で間合いを取りながら1球1球駆け引きをするような名場面がなくなってしまう」「野球が淡白になる」といった選手やファンの反対は当然ある。間合いの取り方は投手、打者とも人それぞれで、個性があり、元々早い人も遅い人もいる。
 また、バッテリー間のサインのやりとり時間を短縮するため、バッテリーが小さな通信機の電波で球種を伝え合う「ピッチコム」も併せて導入されたが、これによって球種サインは捕手主導から投手主導に変わるとの見方もある。「野球文化そのものが変わってしまうのではないか」と懸念する関係者も少なくない。
 それでもトップは反発を厭わず、リーダーシップを発揮してリスクを取って変革を試みる。それこそがマネジメントであり、リーダーの責任であるという強烈な自負と責任感があるのだろう。このリーダーシップこそが日本に欠けている米国の強みだと感じる。やってみて本当に不都合の方が大きければ、その時にまた考えればよい、という柔軟な発想だ。変わらないことより変えて失敗する方を選ぶ。失敗はさらなる変革への貴重な教訓にもなるからだ。失敗したベンチャー経営者は「失敗」の経験者として尊重され、資本家から次のチャンスが与えられることも多い。敗者復活が可能な社会だ。
 日本では政治も企業経営も同じだが、反発やマイナス面が少しでもあるとリスクを取らないトップが多く、長く続いてきたやり方や前例踏襲という安易な選択をしがちだ。会議ばかりに時間を取り、コンセンサスを重視し、決断が遅い。高齢トップやサラリーマン経営者が多いことも一因だろう。目先の小さな失敗を恐れて変革を嫌う「守り」のマネジメントが横行する。活発な競争が起こらず、中小企業はいつまでも中小企業のままで、大企業は100年以上も大企業のまま変わらず、地盤沈下と国力の衰退がズルズルと続く。
 日本に最も欠けているのは、真のエリートによるリーダーシップだと感じる。
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日本女子スキージャンプ陣が初のW杯表彰台独占の歴史的快挙

Posted by fukutyonzoku on 06.2023 スポーツ 0 comments 0 trackback

 久しぶりにいいものを見せてもらい、元気をもらった。
 ドイツ・ビリンゲンで昨日行われたノルディックスキーワールドカップ(W杯)ジャンプ女子個人第17戦で、伊藤有希(28)、丸山希(24)、高梨沙羅(26)の3人娘が見事1、2、3フィニッシュで表彰台独占という歴史的快挙をやってのけた。国際大会での日本女子の表彰台独占は初めて。男子を含めても長野五輪翌年の1999年、ラムソー(オーストリア)で開かれた世界選手権で舟木、宮平、原田が表彰台を独占して以来24年ぶりだ。伊藤のW杯優勝は6季ぶり6勝目。丸山はW杯参戦4季目で初の表彰台。高梨は 2戦連続3位表彰台で、男女W杯通算表彰台最多記録を115回に伸ばした。勢藤優花も10位に食い込み、日本勢4選手がそろってトップ10入り。
 コーチ陣やスタッフ、スポンサーの方々も含め、日本女子スキージャンプチームのみなさん、本当におめでとう!


 この日はジャンプ台が大きなラージヒルで、激しく雪が降り視界が悪いコンディションの中で安定した向かい風が吹くという、日本勢が得意な好条件が整った(日本勢は小柄で体重が軽く、空中の技術が高いため)。前日の同じジャンプ台での第16戦でも予選で高梨2位、伊藤3位、丸山6位、決勝で高梨3位、伊藤4位、丸山5位と、予兆はあった。とはいえ、まさか本当に表彰台を独占するとは。



 伊藤は日本女子チーム最年長。高梨と優勝を競っていた時期もあったが、W杯2016ー17シーズンに5勝を挙げ、高梨に次ぐシーズン総合2位となって以来、優勝から遠ざかり、長いスランプに苦しんでいた。



 チーム最年少の丸山は伊藤、高梨に続く次世代のエースと期待されながら、2年前の北海道・大倉山での全日本選手権ラージヒルで転倒。左膝前十字じん帯断裂などの大けがを負い、昨季の北京五輪代表入りを逃した。今季は辛いリハビリ生活を経ての復帰だった。


 高梨はW杯シーズン総合優勝は女子最多の4回(男女を通じても最多タイ)、優勝回数は男女通じて歴代最多の63勝の言わずと知れた「世界のレジェンド」だが、今季はまだ優勝がなく、ビリンゲンに来るまで波に乗れていなかった。


 なお、前日4日にカナダで行われていたスキージャンプジュニア世界選手権団体戦でも日本代表女子は、高梨、伊藤らを擁して優勝して以来9年ぶり3度目の優勝を果たした。伊藤は優勝インタビューでこのことを紹介し、「今朝起きてそのニュースを知ってすごく嬉しかった」と話し、「難しいコンディションでしたが、オーガナイズ(大会運営)の皆さんが一生懸命整備してくださって、(ラストジャンパーとして)大歓声の中で飛ぶことができて、幸せでした」と振り返った。
 2本目トップの136.5㍍を飛んで4位から2位に順位を上げた丸山は、伊藤と同様に目に涙を浮かべながら「W杯を回らせてもらって4年目で、また(怪我から)帰ってきたシーズンに沙羅さん、有希さんという憧れの先輩と一緒に表彰台に立てるなんて、嬉しい気持ちと支えくださった皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです」と語った。
 1本目にこの日の最長不倒である137.5㍍を飛んで伊藤に次ぐ2位につけた高梨は「2本目は少し攻め過ぎました」と反省しながら「昨日、一昨日から誰が表彰台に上がってもおかしくないほど日本チームの状態は上がってきていたので、もしかしたらとは思ってましたが、まさか本当に表彰台を独占できるなんて。本当に嬉しいです」と、自分が優勝した時以上に笑顔を弾ませた。

サッカーに見るグローバリズムと国際競争の激化

Posted by fukutyonzoku on 02.2023 スポーツ 0 comments 0 trackback
 少し時間が経ってしまったが、FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ (W杯)カタール大会の私的総括。
 今大会出場32カ国の地域別内訳は、欧州13、アジア中東6(うち開催国枠1)、アフリカ5、南米と北中米カリブ海が各4。欧州が約4割を占めている。やはり欧州には強豪国が多く、サッカーの中心は依然として欧州である点を考えると、この出場枠のバランスは妥当だろう。
 16強には欧州がちょうど半分の8カ国で、他はアジア中東からは日韓、豪州の3、南米からはブラジルとアルゼンチンの2、アフリカからもモロッコとセネガルの2、北中米が米国の1。
 8強にはアジア3カ国は全て消え(日本のみグループリーグ<GL>1位通過。ゲーム内容もPK戦までもつれ込む惜敗)、欧州5、南米2、アフリカ1。4強は欧州2、南米とアフリカが各1。モロッコはアフリカ勢初のベスト4。
 こうしてみると、まだまだ欧州が相対的には優勢だが、他の地域も確実に力をつけていることがよく分かる。ゲーム内容も大差の試合は減り、1点差以内の僅差の試合が増えている。GLでは全48試合のうち30試合が1点差以内だった。決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)では8試合のうち3試合が、準々決勝4試合は全てが1点差以内の好ゲームだった。
 これはサッカー国際化の影響により、かつては欧州と中南米の実力が圧倒していた時代が終焉を迎え、アフリカやアジア・中東、北米が追いついてきた結果だろう。今回の日本代表も26人中4人を除く22人が欧州の一流リーグで活躍中、もしくは経験者ばかり。メンタル面でも臆することがなくなった。北中南米やアフリカ、中東の選手たちも同様に、普段は欧州トップリーグで活躍している選手が多い。

◾️「ウィンブルドン現象」は問題ではない

 かつて英国のテニス界は世界最高峰のウィンブルドン大会で英国選手の影が薄くなり、外国勢に大会を乗っ取られる「ウィンブルドン現象」と揶揄された。しかし、スポーツビジネスとして考えるなら、大事なのは自国選手の育成というナショナリズムよりも、国際マーケットを握り続けることだろう。その意味で欧州サッカーの国際化戦略は大成功している。日本サッカー連盟(JFA)も中韓や豪州などと連携し、アジアのサッカーリーグをさらに国際化し、欧州中心のサッカービジネスの牙城を突き崩す努力がもっと必要ではないかと感じる。
#FIFA #JFA #AFA #FIFAワールドカップ2022

https://search.yahoo.co.jp/search?ai=add160a7-fa95-4346-8f84-21cdcada4582&aq=1&ei=UTF-8&fr=yjapp3_ios_wv-sbp&iau=1&p=fifaワールドカップ%202022%20トーナメント表

https://www.goal.com/jp/リスト/fifa-world-cup-qatar-2022-information/1osqtqax5ci4s1rduk9zc5a86

秋田の誇り「秋田ノーザンハピネッツ」

Posted by fukutyonzoku on 16.2022 スポーツ 0 comments 0 trackback

左は水野社長、右が長谷川誠氏

 NHK「スポヂカラ! 地元への誇りを呼び起こせ」で、プロバスケットBリーグ1部「秋田ノーザンハピネッツ(Northern Happinets)」を特集していた。秋田は私が新人記者時代の4年間を過ごした第二の故郷。秋田時代の記者仲間らは今でも友人付き合いが続いており、秋田のバスケチームがNHKでフィーチャーされたことは嬉しかった。

◾️運営母体は水野社長が26歳で創設

 秋田県人は心根の温かい人々ばかりだった。しかし、秋田の現実は全国最速で人口減少が進む過疎県。自殺率も2019年まで19年連続で全国ワーストと暗い話題が多い中で、秋田ノーザンハピネッツは県民の希望の星だという。
 ノーザンハピネッツは2009年に創設された秋田県初のプロスポーツチーム。水野勇気社長(39)は東京出身だが、国際教養大学(秋田市雄和)OB。在学中から秋田にプロバスケチーム創設を目指す活動に関わり、豪州や米国留学を経て26歳で運営母体会社を設立した。

◾️名門・能代工業の遺伝子

 創設1年目、高校バスケ界で全国優勝回数が最多58回という圧倒的名門・能代工業出身の長谷川誠(当時、新潟アルビレックス)を選手権監督として獲得。翌シーズン当時のbjリーグに加入した。優勝こそないものの2013-14と、長谷川がヘッドコーチに就任した14-15シーズンにはディビジョン優勝とファイナル進出を果たしている。
 番組には水野社長と長谷川(現社外取締役)が出演。実は私は能代市でも半年だけ勤務したことがあり、能代工を日本一に育て上げた名将、加藤廣志監督や、当時全国優勝したチームのエースだった長谷川をインタビューしたことがある。実は私も中学時代はバスケ部で、能代工には少なからず憧れていた。
 長谷川は今やすっかり髭の大男だが、当時はまだスリムで可愛かった。長谷川は日大を経て松下電器に入り、いきなり新人王とMVPを同時獲得し、リーグ優勝に貢献。永らく日本代表の中心選手で、日本人初のプロ契約プレーヤーでもある。米独立リーグABAのサンディエゴでもプレーした日本人初の海外プレーヤーでもあり、バスケ界のレジェンドなのだ。私も能代工時代だけではなく、松下電器時代のプレーも東京・代々木体育館で観戦したことがある。

◾️常設の「子ども食堂」も運営

 現在のノーザンハピネッツは、熱狂的なブースター(ファン)で知られ、アウェーゲームでもホームゲームのように客席をピンクに染める動員力から「クレイジーピンク」と呼ばれている。
 番組では、ノーザンハピネッツは地域のために秋田市内に常設の「こども食堂」を運営していることも紹介されていた。中学生以下は16~20時まで無料で食事ができる。シングルマザーの貧困家庭が多い地域だけあって、素晴らしい活動だ。地域貢献活動を含めて地域を元気付けることにこそ地域密着型プロスポーツの意義がある。

◾️ホームゲームでは秋田県民歌を斉唱

 ホームゲームでは試合開始前に選手とブースターが「秋田県民歌」を一緒に斉唱することも番組で紹介されていた。秋田県民は昭和5年に制定されたこの県民歌が本当に大好きだ。恐らく小中学校でも君が代や校歌と共に代々歌いない継がれているのだろう。歌えない県民は私が知る限りいない。4年住んだだけの私でさえ歌えるのだから。
 この歌は確かに名曲だと思う。戦中には山形「最上川」、長野「信濃の国」と合わせて「三大県民歌」の一曲とされていたそうだ。

秋田県民歌
作詞・倉田政嗣、補作詞・高野辰之
作曲・成田為三

一、秀麗無比なる 鳥海山よ
狂瀾吼え立つ 男鹿半島よ
神秘の十和田は 田沢と共に
世界に名を得し 誇の湖水
山水皆これ 詩の国秋田

二、廻らす山山 霊気をこめて
斧の音響かぬ 千古の美林
地下なる鉱脈 無限の宝庫
見渡す広野は 渺茫(びょうぼう)霞み
黄金と実りて 豊けき秋田 

 本当は四番まであるのだが、今回は省略。一番は秋田の豊かな自然を歌い、二番はかつて高級木材として高く売れた秋田杉のほか、金属鉱山・石油など地下資源が豊富(国立秋田大学には最近まで全国唯一の鉱山学部があった。油田は今もあり、細々と産出している)で、米どころでもあり、かつては東北有数の豊かな国だったことを歌っている。番組で久しぶりにこの歌を聞き、嬉しくなってしまった。

◾️秋田は「スポーツ大国」

 なお、秋田には高校ラグビーでも全国大会最多優勝回数を誇る名門・秋田工業があり、当然ながら日本代表クラスの名選手を多数排出している。野球では東北他県のように全国から有望選手が集まる私立高校がなく、毎年のように違う高校が甲子園に出場しており、影が薄くなってしまったが、元々は東北では野球強豪県だった。落合博満(秋田工→東洋大→東芝府中→ロッテ・中日・巨人・日ハム)、山田久志(能代→富士製鐵釜石→阪急)、石井浩郎(秋田→早大→近鉄・巨人・ロッテ・横浜)、石川雅規(秋田商→青山学院大→ヤクルト)、攝津正(秋田経法大付→JR東日本東北→ソフトバンク)、吉田輝星(金足農→日ハム)ら秋田出身のプロ選手も多い。秋田はスポーツ大国なのだ。

引退まで追い詰められ、ついに覚醒した阿炎

Posted by fukutyonzoku on 14.2022 スポーツ 0 comments 0 trackback


大相撲初場所。阿炎(あび)が覚醒した感がある。以前は発言や振る舞いが幼稚なだけでなく、相撲の取り口も雑で素人っぽく、甘さや淡白さが目立った。大物食いだが、格下にもあっさり負ける。長い手を生かした突き押しだけでここまできたという相撲で、好きになれなかった。
 しかし、7場所ぶりの幕内復帰となった先場所もそうだったが、今は相撲の厳しさも顔つきも落ち着きも、まるで別人だ。
 阿炎は以前にも軽率な行為で何度か厳重注意を受けた前科がある“問題児”だっただけに、20年7月場所中に協会の新型コロナ対策ガイドライン違反となるキャバクラ通いと虚偽報告の発覚によって協会に引退届を提出させられる羽目になった。しかし、「もう一度問題を起こしたら即引退」の誓約書提出と、妻や生まれたばかりの長女と離れて部屋住みに戻ることを条件に引退届は預かりとなり、出場3場所停止と50%減俸5カ月の処分となった。
 3場所出場停止から昨年三月場所で復帰。無給の幕下五十六枚目からの再スタートだったが、2場所連続の幕下優勝で十両に戻り、十両では2場所連続の二桁勝利。昨年11月の九州場所で7場所ぶりに幕内復帰し、いきなり優勝争いを演じて12勝3敗の敢闘賞。今場所も本日まで平幕で唯一の5連勝だ。八角理事長(元横綱北勝海)も「迷いがないですよね」と相撲内容を評価。藤島審判長(元大関・武双山)も「阿炎が内容的に一番いい相撲を取っているんじゃないですか。前へ出る相撲を貫いている」と称えた。
https://www.chunichi.co.jp/amp/article/399787?fbclid=IwAR2obDX0aubMJAVwdpxGPNDFKQcWz1IuDX6LGsjTMcopXikP1VreCyJPp-g

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2022/01/14/kiji/20220114s00005000105000c.html?amp=1

 阿炎は「見ている人たちにもっと認めてもらえるように努力を積み重ねていく一年にしたい。一場所一場所の一番一番に集中したい」「自分的にはまだまだ変われると思っている。いろんな人が認めてくれるような人間になりたいと思ってきた。今年もまたそこを目指していきたい」と語る。謹慎中に筋トレで肉体改造し、以前は全くやっていなかったという対戦相手の研究にもしっかり取り組んでいるという。謹慎中に自分の甘さを見つめ直し、しっかり稽古に取り組み、人間的な成長も目指した成果が成績に表れ、顔つきや態度の落ち着きにもそれが滲み出ている。「早く同居してあげたい」と妻子への思いもパワーに変えている。
 生まれ変わった阿炎に密かに期待している。元々大関ぐらいには十分なれる素材なのだから。
 さて、もう一人のキャバクラ処分組である我が郷里の星、朝乃山はいまどうしているか。阿炎のように力を蓄えてくれていればよいのだが。