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待遇改善しなければ人は雇えない~オーバーツーリズム考(3)

Posted by fukutyonzoku on 13.2023 ビジネス 0 comments 0 trackback
 今週のテレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」でも特集していたが、コロナ規制の解除と大型連休が重なり、観光業も飲食業も需要回復に働き手の復帰が追いつかず、どこも人手不足が深刻だったようだ。

◾️需要は回復も働き手は戻らず

 連休中、コロナ禍前のように外国人で混雑した東京・浅草の観光人力車「時代屋」は、車夫不足のため30台ある人力車は半分しか稼働できなかったという。
 大阪のホテル「ユタカウイング」では連休中の予約はコロナ前の7割程度まで埋まった。連休を見越して先月上旬から求人を出したが、応募はゼロ。仕方なく社長が自らフロント業務や客の送迎などを行い、休みなしだったという。
 牛丼の「吉野家」はパートやバイトが集まらず、連休中は都内の一部店舗で一時休業や時短営業を余儀なくされたという。



◾️時給2000円でアルバイト募集

 一方、東京都中央区の洋食店「TOP DINER」では2018年のオープン以来、自給1200円でアルバイトを募集してきたが応募がなく、困って昨年4月、時給を一気に2000円に上げて募集したところ、20人の応募があり、1人を採用したという。同店代表は「大手飲食店が時給を上げているなか、うちのような個人の小さな店だと時給1200円では絶対に人は来ない。時給2000円で本当に混雑している時間帯だけアルバイトでカバーしている」と話す。



 飲食店向け人材派遣会社によると、コロナ禍前は毎月3件ほどしか問い合わせはなかったが、今年初め以降は毎日2件ほどに急増。店側から毎日のように「人手が足りない」と悲鳴のような差し迫った電話がかかってくるという。最近も、蕎麦居酒屋の店主から「GW直前に従業員が辞めた。時給1300円ですぐに5人ほしい」と相談を受けた。派遣会社側は「それは難しい」とGWだけ時給を1600円に引き上げ、「賄いは店のメニューから選んでOK」という条件も提示して何とか4人を確保したという。派遣会社の担当者は「コロナ禍の時短・休業で働き手は飲食店に見切りをつけている。時給を200~300円上げても応募はなかなかこない」と話す。





◾️NYは最低賃金が時給2000円、レストランでも時給3000円超

 番組では「時給2000円」に驚きの声が上がっていたが、その程度で驚いてはいけない。繁しい時間帯だけの短時間労働の時給なら、なおさらだ。ニューヨーク市は最低賃金が時給15㌦(約2000円)。これを2027年にかけて21.25㌦(約2900円)へ引き上げる法案もすでに提出されている。レストランならチップを含めれば時給3000円をすでに超えているらしい。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/01/e00f5a30e27bb961.html

https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000236402.html?display=full

◾️従業員の待遇を改善すれば働き手は集まる

 「オーバーツーリズム考(1)」で「人手不足といいながら観光や飲食店の経営者はなぜ募集時給を思い切って上げて人手を確保しようとしないのか?」と疑問を呈したが、想像した通り、番組で紹介されていた洋食店や蕎麦居酒屋のケースのように時給を上げれば人は集まる。要は、経営者がこれまでの低賃金相場から頭を切り替えられていないだけではないか。
 社員給与も含め、給与水準が上がり物価も上がることは経済にとっては悪いことではない。経営者は人手不足のために需要を取り損ねているのなら、迷わず従業員給与を上げるべき。日本の少子化や生産年齢人口の減少を考えれば、人手不足は今後も緩和しない可能性が高い。つまり企業は今後、高い人件費を負担しても利益を出せる企業や店でないと淘汰されていくということだ。経済の好循環を阻む低生産性企業が淘汰されることは、日本経済全体にとってはよいことだ。
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先進国最多の「国民一斉休暇」がオーバーツーリズムに拍車をかける~オーバーツーリズム考(2)

Posted by fukutyonzoku on 13.2023 ビジネス 0 comments 0 trackback
◾️日本の祝日数は主要先進国最多

 日本の法定祝日日数は先進主要国最多レベルだという事実をご存知だろうか?
 戦後に祝日法が制定された当初は年9日だったが、今では16日にまで増えている。かつては学校も仕事も土曜日は午前中だけある「半ドン」だったが、1980年代後半から徐々に週休2日制が定着。その後も祝日が日曜日になる時は翌日が休日となる振替休日制度や、祝日と祝日に挟まれた平日は休日となる制度も導入され、法定休日数はさらに増えている(2023年は17日、24年は21日)。4月下旬から5月上旬にかけてのゴールデン・ウイークも年々大型化し、法定休日以外にも年末年始の12月29日~1月3日の6日間は官公庁や多くの企業が公休となる。また、成人の日、海の日、敬老の日、スポーツの日の4日間は月曜日に固定され、3連休となるハッピーマンデー制度も導入され、日本人の実質的な休日は増え続けているのだ。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%AE%E7%A5%9D%E6%97%A5%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B

 欧米の法定年間祝日数はスウェーデンとポルトガルが日本と同じ16日で最も多く、イタリア、スペイン、ニュージーランドが12日、米国、フランス、ドイツは11日、豪州は10日、英国は地域によって9~11日と意外に少ない。
https://fumib.net/public-holiday/
https://president.jp/articles/-/21927?page=1
https://honkawa2.sakura.ne.jp/3100.html
https://www.globalnote.jp/post-14269.html



◾️欧米は祝日は少なく、有給休暇取得率が高い

 日本人はかつて世界から「ウサギ小屋に住む働きバチ」と揶揄され、「♪24時間戦えますか? ジャパニーズ・ビジネスマン~」とCMても鼓舞され、「過労死」がそのまま国際語になるほど労働時間が長い国として有名だった。ところが今では法定休日や振替休日も増え、パートタイム労働者が増えたこともあって平均年間実労働時間は米国よりも少なくなっている(日本はサービス残業や闇残業が多いという疑いは残るが)。欧米は法定休日数は少ないものの、有給休暇制度が充実し、日本と違って取得率も高いため、特に欧州は実際の年間平均休日数は日本より長い。各々分散してまとまった休みを取っているのだ。



 日本人や中国人は法定の休日が多く、一斉に休む傾向があるため、観光地はいつも連休になると集中豪雨のように人が押し寄せる。
 観光が日本経済を支える一大産業になりつつあり、しかも人手不足が供給側の成長ネックとなっているならなおさらだが、需要を平準化される努力が国策としても必要だろう。国はこれまで国際的にも批判され続けてきた長い労働時間を削ろうと、国民の法定休日を増やし続けてきた。それはすでに実労働時間の減少として成果が出ているが、一方で休暇の集中や中途半端な「細切れ休暇」の増加という弊害を生んでいる。
 これは労働生産性低下の一因にさえなっている可能性もある。日本は「失われた30年」の間も労働時間当たりの生産性や成長率は欧米と比べてそれほど遜色がないからだ。それほど労働時間削減や労働者の非正規化、パートタイム化が急速に進んだということだ。
 国が今やるべきことは、法定の休日を思い切って整理縮小する一方、有給休暇制度の一層の充実や取得率の向上を図る「働き方改革」を中小零細企業も含めて強力に推進し、労働者が分散して各々まとまった休暇を取れるように労働法制や企業文化を変えることではないか。それは、もちろん観光産業のためだけでなく、国民の生活の質(QOL)の向上にも資するはずだ。

なぜ日本の観光業は従業員待遇とサービスの「質」を上げようとしないのか~オーバーツーリズム考(1)

Posted by fukutyonzoku on 13.2023 ビジネス 0 comments 0 trackback
 コロナ禍の水際規制や行動規制がほぼ解除され、この大型連休は3年ぶりに観光地に賑わいが戻ったが、同時に人気観光地の「オーバーツーリズム」の問題が再発している。今月8日のNHK「クロ現」でも、大型連休中の各地の混乱ぶりを取り上げていた。

◾️コロナ規制解除で観光客が殺到した石垣島

 番組によると、人気リゾート地の石垣島では、飲食店やバス、タクシーなどが人手不足で観光客に対応できない状態に。人手不足の原因は長く続いたコロナ禍といい、観光客が戻っても離職した従業員が戻らないのだとか。
 ある焼肉店ではスタッフが集まらないため、ランチ営業を休止したままといい、店長は「早く再開したいんですが、こんなに人が集まらなくては」と嘆く。連休中の5月3日には島の人口の1割近くに当たる乗客4500人を乗せた横浜発大型クルーズ船が寄港。島の中心部にある公設市場のフードコートで客席を通常の1.5倍に増やしたが、あっという間に満席に。公設市場内の精肉店では家族総出で対応したが、店主は「想像以上。対応できない」と悲鳴を上げる。

◾️人手不足なのになぜ募集時給を上げない?

 しかし、働き手が集まらないのなら従業員の時給や給与を思い切って上げて人を集め、人件費コストを商品サービス価格に転嫁すればよいのにと思うが、なぜそうしないのかという素朴な疑問が湧く。経営者はコスト増となるリスクを取りたくないのだろうか? 最近は島移住に憧れる都会の若者は少なくない。求人サイトで全国に募集をかければ、条件さえよければ求職者は集まりそうに思うが。
 また、島には観光客が外から勝手に車でやってくることはないのだから、総量規制はしやすいはず。行政や観光協会が航空便や船便の輸送量や宿泊キャパをコントロールしたり、料金を上げて数を抑えればいいはずだが、業者や住民の利害が一致せず、行政や観光協会の足並みが揃わないのだろうか?

◾️竹富島では「入島料」を取るが…

 石垣島から船で約15分で渡れる人口300人余りの竹富島。コロナ禍前には年間50万人の観光客が訪れていた。観光客のゴミ捨てマナーが悪く、住民や環境保全団体が観光客の捨てたゴミの分別をしているという。島内にはリサイクル施設がないため、ペットボトルのごみは島外に輸送して処理してもらっているのだとか。それらの費用を賄うため、300円の「入島料」を観光客に求めているが、自販機で自主的な納付協力を求めているだけなので、徴収率は1割程度しかないという。島の環境保全団体代表は「コロナ禍前の状態に戻れば、また島民の生活が疲弊していく。キャパオーバーです」と話す。
 法的な位置付けが曖昧な入島料ではなく、ベネチアのような「入島税」か「宿泊税」をきちんと条例で定め、船便などの運賃や宿泊料金に含めて強制徴収すればよい話ではないのか? キャパオーバーなら入島税は300円でなく、1000円以上とってもいいし。石垣島からの船便を予約制にして総量規制するとか。飲食店や宿泊施設、土産物屋との利害が一致しないのか?

◾️京都はコロナ禍前以上の混雑ぶり

 京都の外国人宿泊客数は円安などを機に2014年から年々増え、コロナ禍前には5年で4倍増となる約450万人にまで急増していた。この大型連休中は3年ぶりのコロナ解禁とあって、再び国内外から観光客が殺到。土産物店などは「やっと観光客が戻ってきた。ホッとしてますよ。あっはっは」と大喜び。座布団店の店主は「コロナ禍前の2019年を超える混雑ぶりです」と話す。
 一方で、京都中心部の家賃は高騰。路線バスが混雑して市民の足に影響が出たり、祇園の舞妓さんが外国人の「舞妓パパラッチ」に取り囲まれて写真撮影を強要され、着物を引っ張られたり、民泊と勘違いされて一般住宅が深夜に呼び鈴を押されたり、街路や住宅地にもゴミの放置が増えたり……と、一般住民とのトラブルも多発。
 行政も①住民から苦情の多かった民泊を禁止②観光客向けのバス1日乗り放題券の販売を停止③バスから地下鉄に誘導する案内を強化したり、混雑時には地下鉄無料チケットを配布④清水寺などは早朝からオープンして早朝観光を推奨ーーと、さまざまな対策を講じてはいるが、バスは運転手が人手不足で集まらず、バス停留場もキャパ不足でこれ以上バス車両も増やせないという。舞妓パパラッチ対策では日本語、英語、中国語で「私道での撮影禁止」「無許可撮影は1万円の罰金」の立て看板も。
 ならば、これもバス運転手の給与を思い切って上げて募集をかけたり、停留所の数を増やしたり拡張したりすればいいのに、と思うが。日本は経営者がそれをしないから、設備投資増や賃上げ、マイルドインフレの好循環が生まれない。業績悪化の際に解雇ができない労働法制が残っているため新規雇用に慎重になる面があるのは分かるが。長期的には住宅地を郊外に展開し、観光エリアと住宅エリアの住み分けを図っていき、地下鉄の輸送量を増強していくしかないだろうが、町屋などをどう保存していくのか、という問題は残りそう。固定資産税優遇や補助金?

◾️アジア系ホテルは100棟の建設を計画

 アジア系らしき(30代程度に見える)女性が「宿泊施設社長」としてインタビューに応じていたが、「海外からの観光客がどんどん増えているのに、京都には宿泊施設が足りない。今後100棟を新たに建設します」と話していた。
 民泊を禁止したように、行政は宿泊業の許認可権を握っている。宿泊キャパの総量規制をやろうと思えば可能なはずだ。世界的な観光地がよくやっている宿泊税を創設するのも一案だし、バスなら一般住民が使う定期券の料金は変えずに観光シーズンだけ通常の料金を思い切って値上げする手もあるはずだ。宿泊キャパを総量規制すれば、宿泊需給は逼迫したままとなり、宿泊料金を上げやすくなる。
 路線バス混雑の問題や住民とのトラブル増加を放置したまま、宿泊キャパの増加を放置すれば、問題が一層深刻化するのは確実だが、大丈夫か? 日本はどの都市もそうだが、そもそも都市計画が長期的な視点を欠いており、いつもその場しのぎ。観光地として量より質を追求するなら、料金を上げて質を高め、総量を規制する発想が必要だろう。

◾️松本市は「量より質」に戦略転換

 一方、コロナ禍前は年間500万人の観光客が訪れていた長野県松本市。この連休中、松本城には入場規制で長い行列ができ、入場まで100分待ちの状態に。創業92年の老舗旅館では地元信州産の木材をふんだんに使って旅館をリニューアルし、広々とした客室に。自然に囲まれたデッキには客室ごとに専用露天風呂を配置。繁忙期には2人部屋で1泊1人30万円の価格設定。欧米富裕層をターゲットにし、観光の「量から質」への転換を図った。料理の食材は8割を地元で調達し、質の高い食材を生産者が希望する価格で購入するなど、経営者は地域経済への還元を意識している。
 この経営者は、高級老舗旅館だけでなく、かつて参勤交代の際に松本藩主も泊まったという旧家の立派な古民家を借り受け、宿泊施設に改装。近くの自然豊かな里山を地元ガイドが案内するサイクリングツアーを始めた。英国の観光業者がツアーに組み込むなど、密かに外国人の人気になっている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000069427.html

 「日本の原風景」とも言える里山や棚田の観光化や農業体験などのグリーンツーリズムは、地味ながら全国各地で広がっている。
 オーバーツーリズムの解決方法は「量から質への転換」がその一つだが、休日の分散化も有効だと思う。日本の祝日は先進国最多で、休暇が集中しやすい。その提案は(2)で。

「学歴フィルター」採用の大企業に明日はない

Posted by fukutyonzoku on 08.2023 ビジネス 0 comments 0 trackback
 企業が新卒採用に当たって大学名だけで足切りするくらいなら、かつての指定校制度を復活させる方がよほど公明正大で、最初から弾かれる大学のエントリー学生にも無駄な手間と時間とコストと期待をかけさせずに済むと思いますけどね。
https://www.j-cast.com/kaisha/2016/10/03279582.html?p=all

 自由応募が当たり前になったのは1990年代初頭、当時の盛田昭夫ソニー会長の「学歴無用論」が発端と記憶してます。当時、理系学生の人気No. 1企業だったソニーが「面接でも出身大学名は一切見ない」と自由応募を始め、他の大企業も横並びで追随。ただ、ソニーも蓋を開けてみれば高偏差値大学出身者だらけになったというオチがつきますが、それでも当時は少数ながらも中堅以下の大学出身者も入っていた。要は当時のソニーにはまだ人材に多様性を求め、変わり種の面白そうな人材を見つけたいという意欲があったということです。
 規格外の人材を発掘し、育てようという意欲のない今の大半の大企業は指定校制度を復活したらいいんです。ただし、人材をコストとしか考えず、採用に手を抜いているような大企業はこれから生き残っていけないとは思いますけどね。
 そもそも新卒一括採用は戦後の人材・人手不足時代にまだ少なかった大学生を企業が競って青田買いする特殊な環境下で始まった採用慣行に過ぎなかったはずですが、環境がすっかり変わってしまっているのに、国際的にも特殊なこんな新卒一括大量採用をなぜいまだに続けてるんですかね。しかも、かつての日本企業はOJTや社費留学などでそれなりに人材投資をしていたが、今はそれも怠っている。要は使い捨て。若い人材を育てる余裕も意欲もないのなら、新卒一括採用なんてやめて即戦力だけ中途採用してればいいでしょうに。
 前例踏襲と横並びという日本の組織の宿痾でしょうか。そんな思考停止の大企業に明日はないという気がますますしますが。