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赤身肉の美味しさも焼き方も知らない日本人

Posted by fukutyonzoku on 22.2023 文化 0 comments 0 trackback
和牛と赤身肉の「肉汁」は似て非なるもの

 先日のNHK「あしたが変わるトリセツショー」でもやっていたが、日本人は赤身肉本来の焼き方も美味さも知らない。赤身肉のステーキは弱火でじっくり何度もひっくり返しながら焼き、肉の内部が50°~70°になると「ゴールデンジュース」と呼ばれる旨味成分たっぷりのジュースが出てくるという。これは和牛の脂肪が溶けて出る「肉汁」とは似て非なるもので、赤身=筋肉細胞のうまみや水分だ。脂は和牛の10分の1、うまみ成分は7倍もあるそうだ。これが本来の肉汁なのだ。
 逆に和牛の「肉汁」は脂まみれで、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを増やして動脈硬化を進める「オメガ3」脂肪酸まみれだ。日本人は、狭い牛舎に閉じ込めて運動させず輸入飼料穀物をたらふく食べさせて太らせた脂まみれの和牛を「柔らかくてジューシー」などと喜んで食べている不思議な民族だ。

◾️「家畜の福祉」にも人間の健康にも悪い日本の畜産

 日本の畜産は工場でつくる工業製品と同じで、欧米では近年社会的な圧力が高まっている家畜の福祉(アニマルウェルフェア)にも反しており、それを食べる人間の健康にも悪いということだ。しかも生産性が低く、価格は輸入肉の元値の何倍も高いが、高い関税や補助金で守られており、日本の消費者は輸入肉や乳製品も国産価格に近い高い価格でしか買えない。さらには畜産農家の生産コストの実に4~5割を占めている家畜の餌は、国産米生産量の1.6倍もの大量の輸入飼料穀物に頼っており、全て国産飼料や牧草に代替することも不可能だ。つまり餌の自給はほぼ不可能で、食料安全保障には全く役に立たない。しかも、畜産はそもそも資源効率が極めて悪く、世界の温室効果ガス排出の14%も占めている環境負荷の高い産業でもある。
 牛は本来は草しか食べない反芻動物である。米国や豪州、NZ産の牛肉は自然の放牧で草を食べて運動もするので筋肉質の赤身肉になるが、これは国産和牛より健康にもよく、上手に焼けばはるかに美味しい肉汁を楽しめる。だから、欧米人は脂っぽい和牛より赤身肉のステーキを好むのが普通だ。
 和牛は日本の伝統的な和食とも無縁で、文化的に守るべきものではなく、国内畜産も産業として守るべき理由はない。本来の放牧や国産飼料だけで賄える畜産農家に補助を集中させて残し、足りない分は関税を完全撤廃して安い輸入肉や乳製品に置き換える方がはるかに合理的な政策だろう。
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日本人の平均摂取カロリーは最貧国並みに低い?

Posted by fukutyonzoku on 10.2023 文化 0 comments 0 trackback
 日本人の1人1日当たり平均供給カロリーは約2700kcalと世界124位(2020年)、OECDでは最低で、カンボジアやラオス、セネガル等より低い最貧国レベルであることに驚いた。かつてよく言われた「飽食ニッポン」「グルメ大国」などと言われたイメージからあまりにかけ離れている。







 これをどう解釈すべきか?
 「供給カロリー」は生産・流通統計から推計した値で、国連食糧農業機関(FAO)が採用しており、国際比較に使われる。一方、実際の摂取カロリーは厚労省の「国民健康・栄養調査」という世帯調査によるデータがある。それによると、日本人の1人1日平均摂取カロリーは1900kcal程度で、「供給カロリー」とは随分開きがあるが、こちらの方が実態に近いだろう。「供給カロリー」は流通段階の食品ロスは差し引いているので、「供給カロリー」と「摂取カロリー」の差は家庭内食品ロスということになる。統計が見当たらないのではっきりしたことは言えないが、もし日本が他国より家庭内食品ロスが比較的少ない社会なら、他国との摂取カロリーの差は供給カロリーほどではないということになるが。



 いずれにしても日本人の平均摂取カロリーは世界的に見るとかなり低く、しかも1971年をピークに低下傾向にあるので、最近よく言われるようになった貧困化とは恐らく無関係だろう。「高齢化と関係があるかもしれない」と最初は直感的に予想したが、調査研究によると、現代日本には肉体労働者が極めて少ないため、高齢者と現役世代との摂取カロリー差はほとんどないそうだ。高齢者になるほど栄養吸収力は低下していくため、特にたんぱく質などは現役世代より意識的に摂取する必要があるのだ。

 だとすれば、日本人の摂取カロリーの低さは、野菜や食物繊維が多く、動物性油脂が少ない低カロリーの和食や、「腹八分目」などの食文化に秘密があるとしか解釈のしようがない。加えて健康志向やダイエット志向の高まりが摂取カロリーの低下に拍車をかけている、ということではないかと思う。日本の医療水準の高さと共に、この食文化が日本人の世界最長寿の最大の要因かもしれない。実際、日本人の肥満率はOECD最低水準である(ただし、糖尿病や高血圧患者の比率は世界平均以下ながら比較的高め。塩分摂取過多や遺伝的要因も原因と言われている)。





 つまりは、日本人の食習慣は塩分摂取過多やダイエットのやり過ぎなどを除けば理想的であり、殆どの国がカロリーや動物性油脂、砂糖を含む糖類を摂り過ぎている、という結論になりそうだ。「和食」が世界的に評価され、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのは、独特の食文化であることに加えて、「低カロリーで(腸の善玉菌を増やす)発酵食品や食物繊維が豊富で、健康によい」ということも大きい。
 ただ、日本人の摂取カロリーは2011年に底を打ち、再び微増傾向に転じている。これはもしかしたら社会の貧困化が影響しているのかもしれない。先進国では貧困層ほどジャンクフードをよく食べるため肥満率や糖尿病罹患率が高い、とのデータがあるからだ。
 また、最近の日本人の平均身長は低身長化しており、これは子供たちのたんぱく質摂取量や睡眠時間の減少が原因となっている可能性がある。
 これらはやや気掛かりな点である。
https://www.globalnote.jp/post-13953.html
https://honkawa2.sakura.ne.jp/0200.html
https://honkawa2.sakura.ne.jp/0110.html
https://honkawa2.sakura.ne.jp/0203.html
https://honkawa2.sakura.ne.jp/2220.html
https://honkawa2.sakura.ne.jp/2177.html
https://president.jp/articles/-/46673?page=1