NHKクローズアップ現代の
「動物園クライシス~ゾウやキリンが消えていく」(6月3日放送)をみた。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3507.html国内の動物園にいるゾウは30年で2割減、キリンは最盛期から4割減ったという。多くの種が似たような状態だという。
最大の原因は、国際的な動物相場の高騰。ワシントン条約などで希少動物の国際的な取引に対する規制が強まったことに加えて、ここ数年、中国など新興国を中心に動物園の新増設が相次いでいる。このため動物園向けの動物の需要は急増しており、多くの動物の相場は過去数年で何倍にも跳ね上がっているという。
日本の動物園の大半は地方自治体(主に市)が運営しており、多くの自治体が財政難の中で動物の調達に苦戦している。
さらには、国内での繁殖を仲介・調整するルールや仕組みが欠けていることも大きいという。動物は各動物園を運営する自治体にとっては高価な財産。特に人気の動物ほど、繁殖のために他の動物園に貸し出せば、入園者数の減少、つまり動物園の収入ダウンに直結してしまうため、市役所や市議会から了解を取り付けるのが難しいというのだ。
この問題の解決策として、例えば
アメリカ動物園水族館協会(AZA)は、加盟する全米の動物園の動物情報をデータベース化し、協会内の動物学者が遺伝情報や環境を勘案し、最適のペアリングや動物の移動を勧告しているという。ベアリングだけでなく、例えばチンパンジーはできるだけ多くの個体が1カ所に集まっていたほうが繁殖しやすい、といった個体特性も考慮され、特定の動物園に集約するよう調整するといったこともやっているらしい。
この勧告には強制力があり、動物園は勧告に従わなければ協会から脱退しなければならないという。協会への加盟は強制ではないらしいのだが、加盟していなければ新たな動物の調達や繁殖相手探しに支障が出るため、殆どの公立動物園が加盟しているという。結果、米国内の動物の繁殖は非常にうまくいっているという。日本でも米国に倣って公益社団法人日本動物園水族館協会(JAZA)
http://www.jaza.jp/ http://ja.m.wikipedia.org/wiki/日本動物園水族館協会
が設立され、現在全国151の動物園、水族館が加盟している(全国の園館の半数以下とか)が、米国のように強制的な勧告権は与えられていない。日本の動物園の存続にとって協会の権限強化が課題のようだ。
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