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G7は本当に「世界経済の新たな危機」で一致したのか?

Posted by fukutyonzoku on 23.2016 政治・経済 0 comments 0 trackback
先日の参院選を前にした党首討論会で、安倍首相は消費税増税再延期の根拠として伊勢志摩首脳宣言を引き、「(新たな危機に協調して対処することで)一致したんですから」と相変わらず詭弁を弄し続けている。

しかし、同首脳宣言では「前回の会合以降、世界経済の見通しに対する下方リスクが高まってきている」と言っているに過ぎない。

「新たに生じつつあるリスク」とも言っているが、それを指しているとおぼしき具体的な記述は以下の通り。

「近年、世界的な貿易のパフォーマ ンスは期待外れの状況にある。弱い需要及び未対応の構造的な問題が、実際の及び潜在的な成長に負荷を与えている主な要因である。非経済的な由来による潜在的なショックが存在する。英国の EU からの離脱は、より大きな国際貿易及び投資に向けた傾向並びにこれらが生み出す雇用を反転することになり、成長に向けた更なる深刻なリスクである。悪化した地政学的な紛争、テ ロ及び難民の動きは、世界の経済環境を複雑にする要因である」

これだけである。リーマン・ショックの「リ」の字もサブプライム危機の「サ」の字も出てこない。これのどこが「危機前夜との認識で一致した」というのか。経済の先行きといものは、常に何がしかのリスクがある。現在の考えうるリスクを羅列しているだけである。もし危機が起こったらG7が政策をフル動員し協調して対処しましょう、というのは一般論に過ぎない建て前を再確認しているだけのことである。

さらにこの宣言では、「債務を持続可能な道筋に乗せていくための取組を継続」することの重要性や、労働市場改革等の「構造政策」の重要性を繰り返し強調している。金融政策や財政政策だけに頼ることを戒めているのだ。
「債務を持続可能な道筋に乗せていくための取組」がG7でも世界でも最も遅れている日本が、消費税増税を再延期して財政出動を呼びかけている場合ではないのだ。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160267.pdf
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