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「24時間テレビ」という偽善チャリティー番組で儲ける日テレは番組収支を公表せよ

Posted by fukutyonzoku on 04.2016 メディア 0 comments 0 trackback


今夏の日本テレビ系『24時間テレビ 愛は地球を救う』の裏番組としてNHKーEテレが8月28日19:00~19:30に生放送した「バリバラ」の「笑いは地球を救う」がネットで話題騒然となった。

◼︎NHKが「24時間テレビ」を徹底批判

「笑いは地球を救う」は、「24時間テレビ」を徹底的にパロディーにして笑い飛ばし、障害者を「感動」の具とする番組内容に対し、障害者自身を含む出演者たちが口々に異を唱えた。NHKとは思えない攻撃的かつ野心的な番組は、ツイッターで多くつぶやかれた言葉を集計する「Yahoo!リアルタイム検索」で20時台、「バリバラ」が3位、「感動ポルノ」が4位など、24時間テレビを上回る順位を記録した。
番組のキーワード「感動ポルノ」は、自身も骨形成不全症を患いながら豪州でコメディアンとジャーナリストとして活躍したステラ・ヤングさん(1982~2014年)が唱えた造語だ。番組ではヤングさんの講演ビデオも流されたが、障害者を健常者が感動するための「モノ」扱いするような行為を指す概念とのこと。この場合の「ポルノ」は裸とは無関係で、「みせ者」「晒し者」といった意味合いで使われている。
また、番組では、「感動ポルノ」的な障害者の番組について、当の障害者の90%が「嫌い」と答えた、とのアンケート結果も紹介されていた。
放送後も続いた討論の動画も番組ホームページで公表されている。


◼︎「チャリティー」なのに高額ギャラ

「24時間テレビ」は、この「感動ポルノ」の問題のみならず、出演タレントへの高額ギャラの問題も週刊誌等で指摘されながら、うやむやのままだ。24時間マラソンランナーのギャラは1000万円とも2000万円とも言われている。パーソナリティーや出演歌手、タレントにもそれぞれ数百万円レベルの出演料が支払われている、と週刊誌などが何度も報じている。
この高額ギャラが本当なら、国際的な常識では「チャリティー番組」としてはあり得ない。「チャリティー」を称するなら、ボランティア出演が当たり前で、彼らに良心があればギャラは受け取れないはずだ。
米国の「レイバーデイ・テレソン」、フランスの「テレソン」といった海外のチャリティー番組でも、大物歌手だろうがタレントだろうが、すべてノーギャラだ。1984年、アフリカの飢餓救済を目的に英国のアーティストたちが「Band Aid」プロジェクトを立ち上げ、翌年米国でも「USA For Africa」に大物アーティストたちが続々と結集。マイケル・ジャクソンが曲を書いた「We Are The World」は世界的な大ヒット曲となったことは誰でも知っているが、この収益は全額アフリカへの食料援助に寄付されている。マイケルはもちろん参加アーティストたちは誰一人、1㌦も受け取っていない。「チャリティー」である以上、出演者はノーギャラというのが世界の常識なのだ。

◼︎「チャリティー」を謳うバラエティー番組

「有名タレントは視聴率と寄付金を集める力がある。ギャラを払ってもお釣りがくるなら、いいじゃないか」「ギャラは寄付金から出しているわけではないから問題はない」と反論する業界関係者も少なくない。しかし、それならそれで、世間が誤解しないように、その考え方や全体収支をきちんと公表するのが、全国的な「チャリティーイベント」を挙行するテレビ局側の最低限の義務であるが、公表されていない。
番組を放送する日テレ系列の全国31局でつくる「公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会」のホームページでは、「皆様からお預かりした寄付金は、経費を一切差し引くことなく、全額、支援活動に活用させていただきます」と説明している。笑ってしまうほど簡単な毎年度の事業計画書と決算報告書も一応掲載されているが、これはあくまで「チャリティー募金」に関わる部分だけの会計報告だ。
実はこの番組は、通常の民放番組と同じように企業のCMスポンサーがおり、当然スポンサー収入がテレビ局側に入っている。その収入は福祉団体に寄付されているわけではなく、通常の番組と同様にテレビ局の収益となっている。その中から出演タレントへのギャラを含む番組制作経費が支払われているらしいのだ。
つまり、集まった寄付金は公益事業として別団体の公益社団法人(24時間テレビチャリティー委員会)が処理しているが、番組自体は通常のバラエティー番組として企業からスポンサー収入を得て制作・放送するという二重構造になっているのだ。「チャリティーを看板にし、実際に募金活動を行うバラエティー番組」というのが実態なのだ。

◼︎日テレの儲けは18億円?

この「バラエティー番組」部分の収支は一切公表されていないが、写真週刊誌『FLASH』の3年前の報道によれば、「事情を知るプロデューサー」の話として、番組の総制作費は4億2000万円、CM収入合計が22億2750万円だという。寄付金総額は毎年10億円前後だから、その2倍以上ものスポンサー収入があることになる。この「総制作費」が番組制作経費の全額を指すのだとすれば、22億2750万円-4億2000万円=18億750万円がテレビ局側の営業利益ということになる。
つまり、日テレとその系列局、制作会社、芸能事務所や出演タレントらは、障害者の「感動」ストーリーを売り物に一般大衆視聴者から寄付を集めながら、その実、自分たちは放送ビジネスとしてちゃっかり儲けているのだ。
寄付をした人たちの一体どれだけの人がこの番組の二重構造を理解した上で寄付しているだろうか。おそらく皆無だろう。「チャリティー」の看板を掲げている以上、全体像を包み隠さず公表しない限り、障害者を食い物にする「偽善チャリティー番組」という誹りは永久に免れないと思う。
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