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ジョン・レノン銃殺から40年 今も変わらぬ銃社会アメリカ

Posted by fukutyonzoku on 26.2020 国際 0 comments 0 trackback


 最近ジョン・レノン特集が多いなあ、と思ったら、生誕80年、没後40年なのだそうだ。そうか、あれからもう40年も経つのか。こっちも年を取るわけだ。
 1980年12月8日(日本時間9日)。私は当時、高校生で、確か期末試験の勉強中だった。自室の深夜ラジオで第一報を聞き、しばらくは何も手がつかないほどショックを受けた。会ったこともない人が死んであんなにショックを受けたことは後にも先にもあの時だけだったかもしれない。それからしばらくはラジオで彼の追悼特集を探して聴き、発売されたばかりのアルバム「ダブル・ファンタジー」やイマジンなどジョンの曲ばかり聴いていた。ビートルズ時代の曲はそれまでにも聴いていたが、ソロになってからの彼の曲がより好きになったのは、あれがきっかけだったかも。彼の悲劇とも相まって、愛と平和というジョン&ヨーコの世界観と、優しくシンプルで心地よいメロディーに惹かれていったのだと思う。

◾️ニクソン政権にマークされていたジョン

 ベトナム戦争を批判したジョンとヨーコの「ベッド・イン」などの反戦活動は右派から「売名行為」「金儲け」だと攻撃され(ジョンは既に十分有名人だったし、「金儲けしたいなら曲を書く」と反論していた。ごもっともw)、ニクソン大統領もあからさまに彼を批判した。彼はCIAから「危険人物」としてマークされ、FBIに尾行されたこともある。彼の「暗殺」は背後に政権の陰がある、と信じる人は今も少なくない。
 でも、彼は政治家でも官僚でもない。もし進んで軍歌を作り、歌い、戦争を煽るアーティストがいれば、そっちの方がよほど変だろう。音楽や芸術文化は、平和と自由というベースの上にしか成立しないものだからだ。
 大学生になってニューヨーク遊学中には、セントラル・パーク脇のダコタ・ハウスの前を通るたびに、かつてジョンが住んでいた辺りを見上げ、彼(の幽霊?)がバルコニーや窓からひょっこり現れないか、と妄想した。大人になってからも軽井沢や箱根などでジョン&ヨーコの足跡を追ったこともある。
 ジョンの死後、ヨーコはジョンが亡くなった時にかけていた血まみれの眼鏡を窓辺に置き、背景に摩天楼が写りこむ写真を撮影。ジョンの命日や結婚記念日などにSNSなどで公開し、銃規制を訴え続けている。

◾️毎日100人以上が銃で命を落とす米国

 米国には人口に近い約3億丁もの銃が民間所有され、世界で民間人が所有する銃の約半分が世界人口の5%に満たない米国人によって所持されているという。3億丁ということは、ほぼ米国民1人に1丁の計算になるが、実際には一人で何丁、何十丁も持っているコレクターも少なくなく、銃所有世帯比率は約4割と言われている。
 銃規制に反対する米国人に問いたい。あなた方はウォルマートでも銃が買え、子供にも銃をプレゼントするような社会を作ってしまった。しかし、銃によって自分や家族や友人たちの命を国家権力や気の狂った犯罪者から守ったことがあるのか、守れると思うのか、と。米国での銃による死者数は増え続けており、最近は年4万人近くが命を落としている。毎日100人以上の計算だ。米国は世界でも交通事故死者数が断トツに多い国だが、それでも年約3.7万人。年によっては銃による死者はそれを上回っている。銃保有率が高い州では警官が死亡する確率が約3倍に上がり、銃が多い州ほど銃による殺人や自殺が多いことは統計的に明らかなのだ。民間人の銃所有は犯罪の抑止力にはならず、真逆の結果となっている。
 200年以上前に制定された合衆国憲法の武装権を盾に、個人の銃所持の権利を譲ろうとしない一部の米国人の銃への固執は異常という他はない。かつての侍にとっての刀のようなものか。もはや理屈を超えたある種の信仰なのだろうが、やはり変えるべきだ。

◾️7割の米国民が銃規制強化に賛成

 不思議なことに世論調査では大抵は過半数、多い時には7割もの米国民が銃規制強化に賛成だ。多くの米国人自身が変えたいと思っている。
 最近では2018年2月に起きた米フロリダ州パークランドの高校で起きた銃乱射事件直後にCNNが行った世論調査でも70%が銃規制強化に賛成し、52%が「強く支持している」と回答。反対は27%だった。銃保有世帯でも57%が賛成。党派別では民主党支持者が93%、無党派が64%、共和党支持者でも49%が賛成した。
 では、なぜ実際に銃規制が進まないのか。悪名高い全米ライフル協会(NRA)のロビー活動が強力だからだというのが定説だが、米国社会の分断工作としてロシアの情報機関から秘密裏に多額の資金がNRAに流入しているとの噂もある。NRAは共和党議員の銃規制反対派を中心に年数百万㌦規模かそれ以上の献金を毎年せっせと垂れ流しているという。しかし、共和党支持者の中にも銃規制賛成派は増えている。それでも変わらないとすれば、米国の病理だろう。
https://rockinon.com/news/detail/79904.amp
https://tower.jp/article/campaign/2020/12/08/01
https://www.cnn.co.jp/amp/article/35115366.html
https://www.newsweekjapan.jp/amp/glenn/2019/09/3.php?page=1