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「財務省のポチ」批判に象徴される左派プロパガンダとイエロージャーナリズムの罪

Posted by fukutyonzoku on 27.2023 公共政策 0 comments 0 trackback
 「週刊現代らしい」と言ってしまえばそれまでですが、増税賛成論を「財務省のポチ」とレッテル張りしてディスる、この手の“庶民感情” に訴える床屋談義レベルの政治批判からはいい加減卒業しませんか?
https://gendai.media/articles/-/106722?page=1&imp=0

 日本は先制国家でもないのに、大衆の不満を煽るだけの左翼的プロパガンダを「売れる」という理由で書き散らすイエロージャーナリズムは百害あって一利(一理)なしでしょう。

◾️先進国最低の日本の租税負担率

 国民負担率が国際的にもまだ低く、特に租税負担率が先進国最低の日本には増税余地があり、世界一の債務の大きさを考えれば増税不可避の結論は明白でしょう。それを言うと「財務省のポチ」と言うのは、日米同盟支持を「アメリカのポチ」「政府の犬」とディスる全共闘の学生運動レベルではないか。中韓の「反日無罪」と同じレベルの左翼イデオロギーや「弱者利権」のポジション・トークですよ。消費税率を20%以上にまで増税してきた欧州諸国の政府・国民はみな「財務省のポチ」ですか?










◾️増税反対なら歳出削減の具体策を示せ

 増税反対なら(MMTや国債発行無限論を別にすれば)財政破綻を防ぐには歳出削減しかないが、どこをどう削るのか具体策を示さないと政策論にはならない。ちなみに、地方自治体を含む日本の一般政府総支出のGDP比は国民負担率と同様にOECD平均以下で、自衛隊員や警察官を含む公務員数は人口比でも就業者数比でもOECD最少レベルの「小さな政府」なんですがね。







◾️西側各国が軍事費を増やす中、日本はGDP比で欧米の半分しかない防衛費を増やさずに済む?

 ロシアのウクライナ侵攻や年々軍事的脅威を高める中国をみて、欧米など西側諸国はこぞって軍事力増強に動いているが、日本だけGDP比で欧米の半分以下しかない防衛費の増額をせずに同盟国の米国や欧州諸国の理解を得られると思いますか? 英国でさえ横須賀に最新鋭空母クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群を派遣し、インド太平洋地域に展開して中国を牽制してるんですよ?
 それとも日本は西側の軍事同盟や連携を捨てて、お花畑の非武装中立論で国民を危険に晒すの? コスタリカの「非武装中立」なんて真っ赤な嘘ですよ。「軍隊」と呼んでないだけで、武器を保有している特別警察や国境・沿岸警備隊の予算は隣国ニカラグアの軍事費の3倍だし、米国を中心とする北中南米の軍事同盟である米州機構(OAS)の加盟国ですが?
 米国との同盟を捨てて中立を選ぶなら、国防力は倍増どころでは済まず、軍事費(防衛費)で日本の6倍以上、常備兵力で10倍近くある中国との戦力差を考えると、何倍にも強化しないと独立は保てないと思いますが。それとも日本を共産化し、中露陣営に行くとでも言うんですか?
 ちなみに、防衛力強化やGDP比2%への防衛予算増額、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有などについては各紙世論調査でも賛成が過半数。世論の大半は、負担増は嫌だけど防衛力増強や防衛費増額の必要性については理解している、ということでしょう。
https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S15506827.html
https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20221106-OYT1T50150/
https://www.sankei.com/article/20221219-P6THPZYC7JN6XNYZ4OILSLIEF4/?outputType=amp
http://www.kenpoukaigi.gr.jp/saikin-news/230110-05.pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000065702.html





◾️削れる予算はある?

 予算を削るとすれば、どの予算?
 高齢者福祉? 日本の高齢者一人当たり給付は決して高くないし、すでに世界一の高齢化率の上昇も止まらない。伸びを抑制するだけで精一杯では?









 医療は人手不足で崩壊寸前だし、国際比較のうえでも人員が少ない政府機関や地方自治体、学校も幼保も介護現場もブラック職場化している。どう考えても人員・予算増が必要だと思いますが?









 GDP比の公共事業費も欧米と同水準まで削ってきた。ただ、災害激甚化への対応や南海トラフや首都直下地震も近いとされているのに、防災インフラ強化は不要? メンテも必要ですよね。



 それとも温暖化対策の再エネ促進への公的助成をやめますか? 日本だけ先進国にもかかわらず石油や天然ガスや石炭を燃やし続け、世界の脱炭素化に背を向けますか?

 破滅的な少子化と人口減少対策はどうするの? 子育て支援予算の倍増はやめるの? では代案は? 移民受け入れ? それも必要でしょうが、今や「安い日本」に来てくれる外国人は高度人材にはほとんどいませんよ?
 諸外国に比べて貧弱なハイテクへの研究開発助成や科学技術予算も増やさなくていいの?







◾️20年以上前から不可避だった増税

 つまりは20年以上前からどう考えても不可避だった増税を、国民も国会も政府も先送りし続けてきたツケが今、一気に押し寄せてるんですよ。IMFやOECDなどの国際経済機関もずっと前からそのことを指摘してきたし、日本がこれだけ巨額の政府債務を抱えながら日本国債の格付けが投資不適格にならない(つまり財政破綻リスクは小さいと判断している)最大の根拠は、「日本の税金は軽く、増税余地がある」と見ているからだ。もし、政治的な理由で増税できないとなると、国債や円への信認は一夜にして失墜しかねません。

 海外で生活や滞在した経験があれば、日本の税負担やサービス料負担がいかに軽いかを実感できるはずです。欧州は消費税負担は20~27%だし、所得税負担も日本より重い国が多い。米国も所得税は日本よりはるかに重いし、消費税はないが、州税の売上税やサービス税、代金の1~2割のチップの習慣もあります。公共分野への個人寄付金額も日本より桁違いに多い。





◾️日本は民主国家として未熟

 日本の納税者や与野党も消費税を「逆進性が高い」と目の敵にし、増税を政治的タブーにしてきた。一方で、法人税や所得税の減税を「景気対策」「直間比率の是正」「国際競争力の維持」と称して下げ続けてきた(最近は緩やかな上昇傾向)。そのギャップが国債累増と世界一の政府債務と日銀の財政ファイナンス。既に持続不能です。
 日本人は国家の根幹に関わる政策論に非合理な感情論を持ち込む人が多く、民主主義国家として未熟ですね。
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