TPP農業再生の条件(上) 日経2月10日付1面

Posted by fukutyonzoku on 10.2012 政治・経済 0 comments 0 trackback
今朝の日経1面の特集はなかなか秀逸だったので、抜粋して引用します。反TPP派にこそ是非読んでほしい。

(引用開始)

 山形県鶴岡市。1月末に若手農家75人が集まり、半日かけて議論をした。議題は「おいしいコメをいかに安く作るか」だ。
 同市周辺の専業農家が集まって設立した「庄内こめ工房」。コメの生産コストを削減するためのグループ会社をつくった。現在のコストは1俵(60キログラム)あたり1万4000円。これを1万円以下に引き下げるのが目標だ。
 三菱商事と提携して新技術を開発。今年は肥料をまく回数を減らす。これで500円削減できる。田んぼに種子を直接まき、田植えの手間も減らす。同工房のコメは減農薬のブランド米で高級品として人気が高い。それでも斎藤一志社長(55)は「外国産のコメに勝つには値段も引き下げないと」と話す。
 農林水産省は「コメが完全自由化されれば、国内消費量800万トンの9割が輸入米に置き換わる」と主張する。だからTPPには反対との理屈が透けて見える。だがこれには2つのまやかしがある。一つは意欲のある国内コメ農家を考慮せず、外国産の実力を過大評価している点だ。
 もちろん外食チェーンを中心に需要はある。大手コメ卸には「輸入米を使ってみたい」との問い合わせがある。日本はコメに高い関税をかける見返りとして、年間10万トンを限度に海外産の主食用コメを入札方式で輸入している。今年の外食向け卸価格は国産が60キログラム約1万5000円だが、外国産はおよそ1万3000円だ。
 だが現状の海外産に日本の市場を席巻する力はない。大手コンビニエンスストアのローソンは「外国産米を使う検討はしていない」と明言する。消費者の国産米への信頼は根強い。しかも日本人が好む短粒種は米国の全生産量の1%。国内コメ卸は世界の市場で流通する規模は10万トン程度とみる。300万トン程度とされる外食や総菜の需要の一部を満たすにすぎない。

◆生産額の2割

 もう一つのまやかしが「コメ=日本農業」との論法だ。「コメ自由化で日本の農業は壊滅する」。昨年10月、TPPに反対する農協などが都内で開いた決起集会では、与野党政治家らが気勢を上げた。農業の自由化を巡る議論はコメ問題で足踏みしてしまう。
 実は日本の農業生産額の8割が畜産や野菜、果実。コメは2割にすぎない。それでもコメが常にクローズアップされるのは、コメ農家の数が生産額に比べて極めて多いためだ。コメ農家の数は全体の半分弱の116万戸。しかも、このうち94万戸が農業以外の所得の方が多い「兼業農家」だ。
 民主党政権が打ち出した戸別所得補償は、規模にかかわらず補助金を支払う。4割が耕作面積が平均(2ヘクタール)以下の農家に回る。手厚い保護で温存された農家が自由化に反対し、数の力で政治に圧力をかける。政治はコメ農家の票を失うことを恐れ、コメを「聖域」扱いし続ける。
 キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁・研究主幹(56)は「兼業のコメ農家を守る農政が、日本の農業の競争力強化の足を引っ張ってきた」と指摘する。
 攻め込まれるだけではない。日本産のコメを台湾に輸出するデビッド・リン氏(62)は「日本のコメはもっと輸出できる」と話す。今の輸出は高級品を中心に年間100トン。若い農家の意欲を引き出すなどで価格を引き下げれば、東南アジアや米国にも輸出できるとみる。「コメ不可侵の神話」の前で立ちすくむのではなく、自由化を視野に入れて農業全体の将来像を描く必要がある。
(引用終わり)
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