「絆」報道は“綺麗事”か

Posted by fukutyonzoku on 12.2012 メディア 0 comments 1 trackback
先日、娘の付き合いで渋谷のライブハウスに行き、Preciousというラップ系アーティストがゲスト出演。彼は土木作業員の経験があるとかで、これまで東北の被災地に何度もボランティアで足を運び、クレーン車で瓦礫撤去を手伝ったりしていると話していた。
その彼が「ただし、俺は募金はやらない。持ち逃げしたり、ポッポに入れたりする奴らをたくさん見てきたから」「(マスコミは)綺麗なことばっかり書きやがって」と怒りをぶつけていた。
彼が言いたかったことは今一つよくわからないのだが、実際、震災に絡めた募金詐欺や振り込め詐欺も横行しているらしいし、避難区域では震災直後から空き巣被害が多発している。特に海外メディアは被災直後は、被災者らがパニックに陥らず、秩序正しい整然とした行動をみせたこと、暴動や盗難もほとんど起こっていないーーなどと、被災者や日本社会の冷静さを褒めすぎたきらいは、確かにある。
想像だが、彼が言いたかったのは、
マスメディアは「絆」を強調し、美談ばかり取り上げるが(実際にはそうでもないが)、実際に起こってることは綺麗事ばかりじゃないぜ! なぜ裏で起こってる汚い話をもっと書かないんだ、絆を強調するのは、国民の脱原発のムーブメントや政府・東電への責任追求を鈍らせる「裏」があるからだろう......といったところだろうか。あるいは、俺は裏の裏まで知り尽くすようになるほどボランティア活動を熱心にやっているんだぜ、と単に自己宣伝したかっただけなのかもしれない。
ところで、彼はたくさん目撃したという募金詐欺を、ちゃんと警察に通報したのだろうか? 彼は地方で通信制高校の非常勤講師もやっているというし、気になるところだ。

まあこの際、彼の真意はどうでもいい。ただ、汚い話も事実として歴史に書きとどめておく必要はあるものの、汚いストーリーを今、殊更発信したところで、ポジティブな影響がどこかに生まれるとも思えない。むしろ、我が国はこんなに美しく強い、という実話があるのなら、それをたくさん伝えた方が、被災者にとっても支援者やそこに距離を置いて見ている傍観者や外国人にとっても、復興や支援に前向きな影響を与える可能性がある。

パニックが起こってもおかしくない状況の中で、大半の被災者らが冷静に秩序正しく行動したことが嘘かと言えば、そんなこともない。大正期の関東大震災では放火、盗難、朝鮮人虐殺事件などが多発したことを思えば、大半の被災者の行動は、間違いなく冷静で規律正しかった。少なくとも諸外国で起こるであろう事態に比べて。また業務とはいえ、自衛隊や米海兵隊員らは文句なしに賞賛に値する大活躍を見せた。
募金詐欺はほとんどが東北の外で起こり、空き巣も大半が東北の外からやってきた個人・組織の仕業であろう。それを報道し、あるいは取り締まることや、政府や東電の対応をしっかり監視し批判すること、あるいは今後のエネルギー政策なども、確かに綺麗事では済まない、メディアにとって重要な仕事だろう。しかし同時に、被災者や被災地を励まし続け、元気になるストーリー、感動するストーリーを伝えるのもメディアの重要な仕事であると思う。
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2012.05.13 13:34 まとめwoネタ速neo