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ことごとく失敗する経産省官民プロジェクト

Posted by fukutyonzoku on 07.2023 公共政策 0 comments 0 trackback
 「初の純国産ジェット旅客機を」と三菱重工を中心に官民を挙げて15年にわたって約1兆円を投じてきたMRJ(三菱リージョナルジェット)開発プロジェクトが、結局1機も世に送り出すことなく清算されることになったようだ。技術トラブルが相次いで6度も納期が延期され、2020年秋に開発事業は事実上凍結されていた。同社は、開発していた小型ジェット旅客機市場の成長はコロナ禍からの回復後も見通せないと判断したという。国も500億円を支援していたが、半導体、液晶などを含め、経産省が絡んだ官民国産プロジェクトはことごとく失敗している。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC023ED0S3A200C2000000/

 余談だが、NHK朝ドラ「舞いあがれ!」でヒロイン舞ちゃんが亡くなったお父ちゃんの夢を引き継いで取り組む航空機部品製造のプロジェクトの中心は「菱崎重工」で、まさにこの三菱重工によるMRJプロジェクトがモデルとなっている。菱崎重工や舞ちゃんのネジ工場であるIWAKURAは大丈夫だろうか?w

◾️本場米国に拠点を置き、全部品を外注したホンダジェットは大成功

 一方、30年かけて小型ビジネスジェットを開発した米ホンダジェットは、同カテゴリーで5年連続出荷数世界一と大成功した。ホンダは最初からビジネスジェットの最大市場である米国に拠点を置き、北米の製造経験者を集めて効率的かつ堅実な研究開発を続けた。設計はホンダ独自だが、エンジンは米GE(ゼネラルエレクトリック)と共同開発し、部品はすべて外注している。日米の航空機製造技術やノウハウはまだ相当な差があるということだろう。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/HondaJet

https://jp.reuters.com/article/honda-jet-engine-parts-idJPKBN13708H

https://www.businessinsider.jp/post-190140

◾️時代遅れの「純国産」発想

 経産省が主導して国内民間技術を垂直統合する「オールジャパン」発想は時代遅れで、得意分野に特化してグローバルに水平分業する時代なのだろう。そもそも自動車でさえ構成部品は3万点に及び、幅広い製造業の裾野が必要とされ、ほぼ国産部品だけで製造できる国は日米独などに限られるが、航空機部品は自動車の100倍となる300万点に達するとされる。
 世界の民間機市場を分け合う米ボーイングや欧州4カ国の共同出資会社であるエアバスでさえ国際分業体制となっている。戦後、航空機の生産開発がGHQによって禁止されて以来、プロペラ国産機のYS-11を除き、ボーイングの下請けのような分担作業しか経験のない日本メーカーが今さら純国産ジェット機をつくるという目標にそもそも無理があったのではないか。
 三菱重工の航空機部門は今後、日英伊3カ国で合意した次期戦闘機開発に注力していくようだが、大丈夫だろうか?
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