なぜ最近の大企業は人材をコストとしか捉えなくなったのか。それは国内市場に安住している限り、厳しい市場競争に晒されずに済むようになってしまったからではないかな。特に労働市場で。
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労働移動を抑制する政財界の「談合」 賃金の後払い制度(年功序列賃金や退職金、年金)やプロパー(生え抜き)でないと出世しにくいなどという企業文化によって企業間の労働移動を相互に制限する「談合」を長年行い、人材の引き抜き競争が起こらないようにした。
さらには中曽根政権あたりから政財界が結託して野党の支持基盤でもある労組の弱体化を進め、小泉政権が安上がりの非正規雇用を解禁。労組もバブル崩壊以降、(正社員組合員の)雇用維持を優先し、賃上げ要求をしなくなった。労働移動が極めて少ないので人材獲得競争が起こらず、労組の突き上げもないから賃金も上がらない。その結果、物価も上がらないから労組はますます賃上げ要求をしにくくなり、賃金も物価も上がらない悪循環に陥ってしまった。これが長期デフレの原因でもある。
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日本企業の人材投資は低水準かつ減少傾向 なお、日本企業が元々OJT以外は低水準だった人材投資をますます減らしており、日本人の職場のモチベーションやloyalty(忠誠心)が今や世界最低水準であることは、国際比較データ上も明らかだ。
https://forbesjapan.com/articles/detail/49486?read_more=1

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企業と従業員との不幸な関係 先日もNHK「クロ現」で紹介されていた内容を基に書いたが、公務員やサラリーマンによる顧客情報リストの名簿業者への流出が絶えず、犯罪グループに利用されている実態も、従業員の会社に対するloyalty低下の表れの一つではないかと思う。日本企業は自社への不信感の高い従業員だらけなのに、現実として転職が難しく不利になることが社員も分かっているので、不満の多い職場にしがみつく。
こうした企業と会社員との不幸な関係は、生産性低下と実質賃金低下の悪循環を引き起こしてしまっている。相互不信が渦巻き、空気が淀んだ企業で斬新なアイデアが生まれるはずもなく、日本企業も日本経済も成長するわけがないではないか。
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