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先進国最多の「国民一斉休暇」がオーバーツーリズムに拍車をかける~オーバーツーリズム考(2)

Posted by fukutyonzoku on 13.2023 ビジネス 0 comments 0 trackback
◾️日本の祝日数は主要先進国最多

 日本の法定祝日日数は先進主要国最多レベルだという事実をご存知だろうか?
 戦後に祝日法が制定された当初は年9日だったが、今では16日にまで増えている。かつては学校も仕事も土曜日は午前中だけある「半ドン」だったが、1980年代後半から徐々に週休2日制が定着。その後も祝日が日曜日になる時は翌日が休日となる振替休日制度や、祝日と祝日に挟まれた平日は休日となる制度も導入され、法定休日数はさらに増えている(2023年は17日、24年は21日)。4月下旬から5月上旬にかけてのゴールデン・ウイークも年々大型化し、法定休日以外にも年末年始の12月29日~1月3日の6日間は官公庁や多くの企業が公休となる。また、成人の日、海の日、敬老の日、スポーツの日の4日間は月曜日に固定され、3連休となるハッピーマンデー制度も導入され、日本人の実質的な休日は増え続けているのだ。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%AE%E7%A5%9D%E6%97%A5%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B

 欧米の法定年間祝日数はスウェーデンとポルトガルが日本と同じ16日で最も多く、イタリア、スペイン、ニュージーランドが12日、米国、フランス、ドイツは11日、豪州は10日、英国は地域によって9~11日と意外に少ない。
https://fumib.net/public-holiday/
https://president.jp/articles/-/21927?page=1
https://honkawa2.sakura.ne.jp/3100.html
https://www.globalnote.jp/post-14269.html



◾️欧米は祝日は少なく、有給休暇取得率が高い

 日本人はかつて世界から「ウサギ小屋に住む働きバチ」と揶揄され、「♪24時間戦えますか? ジャパニーズ・ビジネスマン~」とCMても鼓舞され、「過労死」がそのまま国際語になるほど労働時間が長い国として有名だった。ところが今では法定休日や振替休日も増え、パートタイム労働者が増えたこともあって平均年間実労働時間は米国よりも少なくなっている(日本はサービス残業や闇残業が多いという疑いは残るが)。欧米は法定休日数は少ないものの、有給休暇制度が充実し、日本と違って取得率も高いため、特に欧州は実際の年間平均休日数は日本より長い。各々分散してまとまった休みを取っているのだ。



 日本人や中国人は法定の休日が多く、一斉に休む傾向があるため、観光地はいつも連休になると集中豪雨のように人が押し寄せる。
 観光が日本経済を支える一大産業になりつつあり、しかも人手不足が供給側の成長ネックとなっているならなおさらだが、需要を平準化される努力が国策としても必要だろう。国はこれまで国際的にも批判され続けてきた長い労働時間を削ろうと、国民の法定休日を増やし続けてきた。それはすでに実労働時間の減少として成果が出ているが、一方で休暇の集中や中途半端な「細切れ休暇」の増加という弊害を生んでいる。
 これは労働生産性低下の一因にさえなっている可能性もある。日本は「失われた30年」の間も労働時間当たりの生産性や成長率は欧米と比べてそれほど遜色がないからだ。それほど労働時間削減や労働者の非正規化、パートタイム化が急速に進んだということだ。
 国が今やるべきことは、法定の休日を思い切って整理縮小する一方、有給休暇制度の一層の充実や取得率の向上を図る「働き方改革」を中小零細企業も含めて強力に推進し、労働者が分散して各々まとまった休暇を取れるように労働法制や企業文化を変えることではないか。それは、もちろん観光産業のためだけでなく、国民の生活の質(QOL)の向上にも資するはずだ。
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