今週のテレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」でも特集していたが、コロナ規制の解除と大型連休が重なり、観光業も飲食業も需要回復に働き手の復帰が追いつかず、どこも人手不足が深刻だったようだ。
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需要は回復も働き手は戻らず 連休中、コロナ禍前のように外国人で混雑した東京・浅草の観光人力車「時代屋」は、車夫不足のため30台ある人力車は半分しか稼働できなかったという。
大阪のホテル「ユタカウイング」では連休中の予約はコロナ前の7割程度まで埋まった。連休を見越して先月上旬から求人を出したが、応募はゼロ。仕方なく社長が自らフロント業務や客の送迎などを行い、休みなしだったという。
牛丼の「吉野家」はパートやバイトが集まらず、連休中は都内の一部店舗で一時休業や時短営業を余儀なくされたという。

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時給2000円でアルバイト募集 一方、東京都中央区の洋食店「TOP DINER」では2018年のオープン以来、自給1200円でアルバイトを募集してきたが応募がなく、困って昨年4月、時給を一気に2000円に上げて募集したところ、20人の応募があり、1人を採用したという。同店代表は「大手飲食店が時給を上げているなか、うちのような個人の小さな店だと時給1200円では絶対に人は来ない。時給2000円で本当に混雑している時間帯だけアルバイトでカバーしている」と話す。

飲食店向け人材派遣会社によると、コロナ禍前は毎月3件ほどしか問い合わせはなかったが、今年初め以降は毎日2件ほどに急増。店側から毎日のように「人手が足りない」と悲鳴のような差し迫った電話がかかってくるという。最近も、蕎麦居酒屋の店主から「GW直前に従業員が辞めた。時給1300円ですぐに5人ほしい」と相談を受けた。派遣会社側は「それは難しい」とGWだけ時給を1600円に引き上げ、「賄いは店のメニューから選んでOK」という条件も提示して何とか4人を確保したという。派遣会社の担当者は「コロナ禍の時短・休業で働き手は飲食店に見切りをつけている。時給を200~300円上げても応募はなかなかこない」と話す。


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NYは最低賃金が時給2000円、レストランでも時給3000円超 番組では「時給2000円」に驚きの声が上がっていたが、その程度で驚いてはいけない。繁しい時間帯だけの短時間労働の時給なら、なおさらだ。ニューヨーク市は最低賃金が時給15㌦(約2000円)。これを2027年にかけて21.25㌦(約2900円)へ引き上げる法案もすでに提出されている。レストランならチップを含めれば時給3000円をすでに超えているらしい。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/01/e00f5a30e27bb961.htmlhttps://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000236402.html?display=full◾️
従業員の待遇を改善すれば働き手は集まる 「オーバーツーリズム考(1)」で「人手不足といいながら観光や飲食店の経営者はなぜ募集時給を思い切って上げて人手を確保しようとしないのか?」と疑問を呈したが、想像した通り、番組で紹介されていた洋食店や蕎麦居酒屋のケースのように時給を上げれば人は集まる。要は、経営者がこれまでの低賃金相場から頭を切り替えられていないだけではないか。
社員給与も含め、給与水準が上がり物価も上がることは経済にとっては悪いことではない。経営者は人手不足のために需要を取り損ねているのなら、迷わず従業員給与を上げるべき。日本の少子化や生産年齢人口の減少を考えれば、人手不足は今後も緩和しない可能性が高い。つまり企業は今後、高い人件費を負担しても利益を出せる企業や店でないと淘汰されていくということだ。経済の好循環を阻む低生産性企業が淘汰されることは、日本経済全体にとってはよいことだ。
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