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宇宙は全て「神の数式」で出来ている?

Posted by fukutyonzoku on 15.2023 科学 0 comments 0 trackback

 NHK-BSプレミアム「ヒューマニエンス」で昨年11月に放送された「“数字” 世界の秘密を解くチカラ」を再放送でみたが、面白かった。

◾️フィボナッチ数列が自然界に多く存在するのはなぜか?

 番組でも紹介されていた「フィボナッチ数列」のことは、世界的ベストセラー小説で映画化もされた『ダ・ヴィンチ・コード』の中でも「神の数列」として紹介されていたのを覚えている。イタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチが1202年に『算盤の書』(Liber Abaci) にその概念を書いたことでそう呼ばれているが、実はフィボナッチよりさらに500年ほども前にインドの学者、ヘーマチャンドラ (Hemachandra) が韻律の研究から発見し、書物に記していたことが後にわかっている。
 0を発見(発明?)したのもインド人だし、現在世界で広く使われているアラビア数字も元々はインド数字である。インド人の数学的センスは古来から優れていたのは間違いない。

 フィボナッチ数列は1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144……と、隣り合った数同士を足していく数列だが、なぜかこの数が草花の花びらの数のほか、ひまわりの種や松ぼっくりの鱗の列数、ウサギの繁殖の増え方、樹木の枝分かれの数など、なぜか自然界に数多く存在していることが知られていた。しかも、この数列の隣り合った数字同士の比率はやはり自然界に多く存在し、人間が最も美しいと感じると言われる1.618033…の「黄金比率」に近付いていく。



 フィボナッチ数列は樹木や草木のみならず、人体の気管支や血管の枝分かれの仕方にも当てはまり、またフィボナッチ数列から導かれる「黄金螺旋」は植物の葉のつき方や人間のDNAの二重螺旋構造、台風の渦巻き、銀河の渦巻き……など、自然界のあらゆるものに見られるという。「神の数列」と言われる所以だ。自然界だけでなく「ミロのヴィーナス」や「モナ・リザ」、パルテノン神殿、サクラダ・ファミリア、エジプトのピラミッド、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」に至るまで、古今東西の傑作美術の構図や建築の設計にもよく当てはまるという。
https://forest-clinic.jp/knowledge/etc/post-605.html










◾️細胞がフィボナッチ数列の計算をしていた!

 このフィボナッチ数列や黄金比率のことは古くから知られていたが、2021年にはガーベラの細胞分子レベルの成長プロセスを解析した研究論文が発表されたことも「ヒューマニエンス」で紹介されていた。ガーベラの花びらの数は右巻き34枚、左巻き55枚とやはりフィボナッチ数列と一致しているが、花びらがリング状の原基に出来ていく順番や位置取りが、完全に黄金螺旋と一致していたという。ゲスト出演していた大阪大大学院の生物学者、近藤滋教授は「細胞が本当にフィボナッチ数列の計算をしていたんです」と解説。その結果、多くの花びらが最も効率的に太陽光を浴びることができる位置に配されることになるという。フィボナッチ数列が生物の設計図であるDNAに組み込まれているという、まさに「神の数列」であることを分子レベルで実証したことになるらしい。



◾️チューリングの数式も人間や動物の身体構造原理に

 自然界にはフィボナッチ数列以外にも多くの数式が潜んでいるという。シマウマの縞模様やチーターの斑点模様もその一つで、その模様のできる法則を世界で最初に数式で示したのが英国のアラン・チューリング(1912ー54年)。チューリングはコンピューターの誕生に重要な役割を果たしたほか、ナチスドイツのエニグマ暗号を解読したことでも有名な天才数学者。2019年から英50ポンド紙幣の肖像にもなっている。





 チューリングの論文発表から40年近く経ってから、熱帯魚の縞模様の観察でその数式の正しさを科学誌『ネイチャー』の発表論文で実証したのが、前述の近藤教授だ。シマウマの縞模様もチーターの斑点もまだら模様の生き物も、ほぼ全ての動物の模様ができる原理は全く同じ規則的な波形の原理であり、チューリングの数式で説明できるという。







 この数式は、人間を含む動物の指や指紋のでき方、血管の間隔、肺組織の広がり方などにも関係しているとの研究報告もあるという。



 もちろん、生物はこの原理だけで全てが説明できるわけではないものの、例えば他にも背骨、肋骨、関節など等間隔にできる身体構造は、全て「チューリング・パターン」の原理でできているのだという。
 「チューリングおたく」を自称する近藤教授によると、DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の四つの塩基配列によって決定されているが、AとT、Gと Cはそれぞれペアになっているので、基本的にはコンピューターと同じ2進法になっている。
 とすれば、人間を含む自然や宇宙は、そもそもアナログではなく実はデジタルで出来ているということになるのかもしれない。
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