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高橋洋一氏の不思議なインフレ目標政策擁護論

Posted by fukutyonzoku on 07.2013 経済 6 comments 0 trackback
ダイヤモンドオンラインで連載されている「俗論を撃つ!」で、筆者である高橋洋一・嘉悦大学教授が書いていた「インフレ目標『弊害論』を検証する」への疑問点を指摘しておきたい。彼の主張は常に突っ込みどころが満載なのだが、彼がブレーンを務める安倍晋三政権が誕生し、影響力を高めている。これまでは時々間違いを正し、後は笑っていれば済んだが、そういうわけにもいかなくなりつつあるので、時間が許す限り、きちんと疑問点や間違いを指摘しておこうと思う。

この10年ほどの間にインフレ目標を採用している国でハイパーインフレになった国はひとつも存在しない

→そもそも立論の前提がおかしい。インフレ目標を採用するだけでハイパーインフレを招くとの意見に対し反証する形をとっているが、そんな極論を主張している専門家が本当にいるのだろうか。少なくとも私は知らない。
インフレ目標政策自体というより、非現実的な目標数値設定や、それを達成するために日銀の独立性を奪い無制限の量的緩和や国債の直接引き受けといった政策手段までを政府が強制し、要は財政ファイナンス(国の財政政策や借金の肩代わり)をやらせることに対して多くの専門家が反対しているのだ。財政ファイナンスの結果として、通貨の信認も財政規律も失われ、国民生活が破壊されるリスクが高まる、という真っ当な主張である。
また、そもそもインフレ目標採用国の中で日本より財政状況(対GDP比の公的累積債務残高)が悪い国はないので、過去10年にインフレ目標採用国の中でハイパーインフレになった国がなかったという事実は、日本が今後インフレ目標を採用してもそうならないという根拠にはならない。論理がおかしい。

現金需要がきわめて旺盛な流動性の罠の状態であれば、現金がじゃぶじゃぶ状態であり、インフレ期待が生じてもそれらの一部が債券購入資金に回り、債券価格の下支えになって金利はなかなか上昇しないのだ
→「現金需要が極めて旺盛」な「流動性の罠の状態」って何? 仮に企業の資金需要やインフレ期待が出てきてマネーが企業設備投資やリスク資産に向かえば「現金がじゃぶじゃぶ」の状態は自然に解消していく(金融緩和の継続で無理にじゃぶじゃぶの状態を続けようとすれば別だが…)。そうなれば、当然のことながら債券価格は下落し、長期金利は上昇する。現に、リーマン・ショック前の好況期だった2006年には長期金利は2%まで上昇していた。


最近も安倍晋三・自民党総裁の衆院選時以来の発言や円安・株高を受けて、長期金利は依然として低水準ながらも実際に急騰した。


1930年代の大恐慌において、米国や日本の歴史事実を見ても、名目金利の上昇は見られなかった
→なぜ、ハイパーインフレが起こった第二次世界戦後の日本やドイツの例をスキップし、1930年代大恐慌まで遡るのだろうか。昭和金融恐慌や大恐慌はバブル崩壊による金融危機であり、現在のデフレ慢性化やソブリン危機との複合危機とは危機の中身が違う。現在の危機はむしろ戦中の国家破綻前夜の状況に近いのではなかろうか。

金利が上昇すると債券の価格が下がるので、資産側の国債などに評価損がでるが、別の資産である株式などで逆に含み益がでる
→金融機関が保有する国債などの債券と株式などのリスク資産のボリュームは桁が違う。銀行保有資産のうち、国債・国庫短期証券や社債等の債券は2割近くを占めているのに対し、株式は2%に過ぎない。
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/pdf/p01023_2.pdf

…この論者は、名目金利が1%上昇すると債務残高1000兆円なので、利払い費が10兆円増加するという。しかし、政府部門の資産600兆円の大半は金融資産で、その利回りアップによる収入増加のことは言わない
→その資産を差し引いた純債務残高の対GDP比でも主要国中最悪であることに変わりはない。
http://www.mof.go.jp/faq/seimu/03.htm

(1)金融緩和でデフレは直らないといいつつ、ハイパーインフレになるという。これをインフレ率の数字で言えば、▲1%のインフレ率を引き上げようとすると、2%や3%ではとどまらず、すぐに30%以上になると主張するわけだ…
→何も矛盾していない。現在の日本のようにゼロ金利が効かず、流動性の罠が慢性化してしまった経済においては、量的緩和をいくらやっても効果がなく、インフレ期待は出てこないと言っているのだ。ただし、極端なリフレ論者が主張するような国債の直接引き受けや無制限のリスク資産購入などを始めれば、それはもはや「金融政策」の則を超えた財政ファイナンス(財政政策や政府債務の肩代わり)であり、その「禁じ手」に手を染めてしまえば、日銀や国家の信認は一気に崩壊し、制御不能のインフレ亢進に突き進む可能性があるということ。それは「量的緩和の効果」というより「国家信認崩壊の結果」である。市場の大勢がそう判断すれば、国債や通貨の暴落にはそう時間はかからない。実際、ギリシャのCDSは数年前まで日本とほぼ同水準だったが、市場が財政破綻リスクが意識され始めてから、あっという間に跳ね上がった。

(2)金融緩和しても貸出にすぐまわらないといいつつ、金利はすぐ上昇するという。f.【金利上昇論】(前回参照)で書いたように、すぐに貸出はでてこない。だから、貸出市場が逼迫せずに金利も上昇しないのだが、金利上昇で国債暴落と話が飛躍する
→債券価格(金利)は資金需給だけで決まるわけではない。「発行体(国債なら国)がデフォルト(債務不履行)し、債券が紙くずになる」と市場の大勢が判断すれば、短期間に価格は暴落(金利は急騰)し、ジャンク債になるのです。

各国ともにインフレ目標があるので、金融緩和にも自ずと限界がある。だから、通貨安戦争になっていない。インフレ目標の範囲で各国ともに金融政策を行うことは、世界経済にとって好ましいことだ
→そもそも日銀は既に事実上の「インフレ目標」を採用している。 「ターゲット(目標)」と「ゴール(めど)」という言葉の違い、目標数値の明瞭度に多少の違いがある程度であり、実態的な差はほとんどない。インフレ目標採用国が目標期限を明示しているわけでもないし、政策手段を政府に約束しているわけでもない。
実は、インタゲ採用国でもそれほど厳格に結果が求められているわけでもないのだ。英国では頻繁にターゲットをオーバーしており、イングランド銀行(BOE)のキング総裁はこれまでに10回以上もその釈明の書簡を政府に提出している。つまり、インフレ目標は英国においては既に形骸化し、少なくとも高橋氏が言うようなインフレの歯止めにはあまり役立っていない。各国は米国のような「雇用」(失業率)や名目GDP成長率を新たなターゲットとする流れにあり、その意味では金融緩和競争、通貨安競争は既に始まっていると言える。次の金融バブルを膨らます危険があるのは百も承知で「日本化」、つまりはデフレの慢性化(流動性の罠)を避けることを最優先したリフレ政策をとっている。
それは欧米にとっては正しい処方箋かもしれないが、日本はとっくにそのタイミングを逸してしまった。デフレが染み付いてしまっている上に人口減少が始まっている日本で、期待インフレ率≒予想名目GDP成長率を高めることは容易ではない。2%程度のインフレ目標の実現でさえ簡単ではないと思うが、日銀がそれを掲げてアナウンスメント効果を狙うだけなら当面の実害は少ないだろう。ただし、後に実現しないことが明らかになった場合、期待を裏切られた市場の反動が起こり得るリスクがあることには注意が必要だ。
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▶ Comment

>なぜ、ハイパーインフレが起こった第二次世界戦後の日本やドイツの例をスキップし

当時の日本は実質固定相場制なので変動相場制の現在と比べるのがおかしい。

>制御不能のインフレ亢進に突き進む可能性があるということ

金融引き締めで対処できるでしょ。

>発行体(国債なら国)がデフォルト(債務不履行)し、

円建てなのに意味が分からない。

>2%程度のインフレ目標の実現でさえ簡単ではないと思うが

消費増税で内需が疲弊しているだけ、消費減税で国内消費は復活です。
資本主義は需要が基本だとお気づきの筈。
需要が復活すればインフレ目標は簡単に達成できますよね。
2016.05.21 18:43 | URL | 勇者 #JyN/eAqk [edit]
「勇者」さんへ。お言葉をそのままお返ししますが、「反論の反論」に全然なってませんよ。


>なぜ、ハイパーインフレが起こった第二次世界戦後の日本やドイツの例をスキップし

当時の日本は実質固定相場制なので変動相場制の現在と比べるのがおかしい。 」

→そもそも高橋氏は固定相場制だった1930年代の大恐慌を引き合いに出しているのですから、もしあなたの言う通りなら、そもそも高橋氏の言っていることがおかしいことになります。それに、インフレの振れ幅は固定相場制より変動相場制の方が大きくなります。急激な通貨安に見舞われ、輸入物価が一気に高騰しますから。


「>制御不能のインフレ亢進に突き進む可能性があるということ

金融引き締めで対処できるでしょ。」

→もし金融引き締めで簡単に対処できるなら、世界中で過去に何度も激しいインフレが起こっているのはなぜでしょうか? 金融引き締めが効かないほどの激しいインフレだったか、あるいはスタグフレーションのため不況にも目配りせざるを得ず、極端な引き締め策を取れなかったか、どちらかでしょう。あなたが考えるように金融政策が万能なら、そもそも今のデフレだってこれまでの金融緩和でとっくに解決しているはずですw


「>発行体(国債なら国)がデフォルト(債務不履行)し、

円建てなのに意味が分からない。」

→アルゼンチンのように外貨建てが多ければ、通貨安とのダブルパンチで債務が膨らみデフォルトしやすくなることは事実だが、債権者の殆どが国内または円建てだからといってデフォルトしないことにはなりません。そんな理屈が通るなら、債務の大半が自国通貨であるユーロ建てだったギリシャはデフォルトしなかったはずだし、国内通貨建ての債務しかない企業や金融機関も倒産しないことになります。


「>2%程度のインフレ目標の実現でさえ簡単ではないと思うが

消費増税で内需が疲弊しているだけ、消費減税で国内消費は復活です。
資本主義は需要が基本だとお気づきの筈。
需要が復活すればインフレ目標は簡単に達成できますよね。」

→噴飯ものの屁理屈です。あなた方リフレ派の基幹理論は通貨数量説のはず。マネーをバラマキさえすれば、簡単にインフレになるんじゃなかったの? 実需なんて金融調整だけでどうにでもなるはずでは? 政策による需要刺激で簡単に消費が回復するなら、今ごろ日本経済はこんな状態にはなってませんよ。また、リフレ派は黒田バズーカの「敗因」を盛んに消費税増税に責任転嫁したがりますが、1997年の増税時も今回も、個人消費は半年後には一旦増税前の水準に回復しています。その後の低迷は別の原因であるのは明らかです。97年はアジア通貨危機に端を発する金融危機、今回はアベノミクスの失敗のよる実質賃金の低下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46435
2016.05.22 01:40 | URL | 窓際記者 #- [edit]
順不動で申し訳ない

>なぜ、ハイパーインフレが起こった第二次世界戦後の日本やドイツの例をスキップし

戦後の日本のインフレは原材料不足による供給不足が原因で金融政策ではないでしょう。

>インフレの振れ幅は固定相場制より変動相場制の方が大きくなります

変動相場制の方が金融政策の自由度が高くインフレをコントロールし易いはずで、固定相場は相場維持に大量の資金が必要になるのでマネーのコントロールが効きにくい筈です。

>債務の大半が自国通貨であるユーロ建てだったギリシャはデフォルトしなかったはずだし

ギリシャは独自に金融政策を行えません、独自通貨ならギリシャの通貨が安くなり輸出や観光が復活し一息付けたはずです。

>円建てだからといってデフォルトしないことにはなりません。

それならドルは世界中に債務があるからアメリカは破綻するはずですが…金本位制ではないので足りなければ刷ればよいだけです。
またご存じのように金融機関はお札の発行権はありませんので倒産はあります。

>もし金融引き締めで簡単に対処できるなら、

もちろんインフレは金融政策だけでは制御できないものもあります、しかし日本の場合は内戦や供給不足等によるスタブクレーションが起きる可能性は極端に低いと思います。
勿論日本の場合は天変地異による供給不足に落ちいる可能性はありますが、全国規模で起こる可能性は低いですよね。

>マネーをバラマキさえすれば、簡単にインフレになるんじゃなかったの?

金融政策は需要喚起の手段です。
言葉足らずでしたら申し訳ありません、景気回復の足を引っ張っているのが消費税と言いたかったのです。

>今ごろ日本経済はこんな状態にはなってませんよ

20年間GDPがほとんど伸びていませんよね、明らかに金融政策と増税の失敗は明かです。
普通にやっていればGDP700兆円はいっているはずです。

>97年はアジア通貨危機に端を発する金融危機、


当時は緊縮財政で日銀は円高放置で消費税5%に上げたばかりですから東南アジア程ではないにしろ被害を被ったのは確かですが、余りにも無策でしたね。
金融機関は大変だったと思います。


2016.05.22 17:19 | URL | 勇者 #JyN/eAqk [edit]
このところ忙しく、返信が遅くなりましたが、「勇者」さんに再反論します。

>戦後の日本のインフレは原材料不足による供給不足が原因で金融政策ではないでしょう。
→数十%程度の供給力不足だけで何百%ものハイパーインフレが起こることはありませんよ。終戦直後の日本政府は巨額の戦時国債償還、賠償金や兵士恩給等の支払いや復興資金に窮して大量の紙幣増発を行った上に、復興期には生産力回復を優先してインフレリスクを軽視した金融財政政策をシャープ勧告まで続けた。このマクロ政策が戦後のハイパーインフレの主因だという理解は常識です。
http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/kk31-1-7.pdf

>(>インフレの振れ幅は固定相場制より変動相場制の方が大きくなります→)変動相場制の方が金融政策の自由度が高くインフレをコントロールし易いはずで、固定相場は相場維持に大量の資金が必要になるのでマネーのコントロールが効きにくい筈です。

→一般論としては、ティンバーゲンの定理(国際金融のトリレンマ)で変動相場制の方が金融政策の自由度が高いとされています。しかし、激しいインフレと闘うような局面を考えた場合、固定相場制でも変動相場制でも政策は「金融引き締め+円買い介入」で同じ方向を向いている。むしろ、為替介入がいつでも自由にできる固定相場制の方が有利かもしれません。ただ、このような局面では固定相場制は結局維持できなくなるので、結局は同じことかもしれませんが。いずれにしても「(金融政策のインフレ対応力は)当時は固定相場制だったから今とは比較できない」というあなたが横槍を入れた命題がそもそもナンセンスだということです。
介入資金については、日本にはユーロ圏全体を上回る1.2兆㌦もの外貨準備があるので、心配ご無用です。ポンド防衛でソロスに敗れたBOEとはわけが違います。

>(>債務の大半が自国通貨であるユーロ建てだったギリシャはデフォルトしなかったはずだし→)ギリシャは独自に金融政策を行えません、独自通貨ならギリシャの通貨が安くなり輸出や観光が復活し一息付けたはずです。
→確かにギリシャは独自の金融政策よ通貨発行権も持ってきませんね。ただし、「通貨安は経済(国民経済全体)にプラス」というのは素人に多い思い込みです。日本のような経常収支黒字国なら短期的には国民経済全体としてプラス面がマイナス面を上回るはずですが、ギリシャのような赤字国は短期的にはマイナス面がプラス面を上回ります。黒字国は対外純受取国なので通貨安になると自国通貨換算の受け取りが増え、赤字国は逆に対外純支払国なので、支払いが増えるためです。さらに一般的なマイナス面を挙げれば、輸入物価が上昇して実質消費が減った上にインフレ圧力が高まる。もしギリシャが独自通貨を使っていれば、通貨暴落で外貨建て債務が膨らむので、輸出が回復する前に国債がデフォルトしてしまいますよ。実際、ギリシャはユーロ加盟前からデフォルト常習国でした。

>(>円建てだからといってデフォルトしないことにはなりません→)それならドルは世界中に債務があるからアメリカは破綻するはずですが…金本位制ではないので足りなければ刷ればよいだけです。

→デフォルト(債務不履行)を形式的に捉えても意味はないでしょう。確かにお札をいくらでも刷って債務返済に当てることができれば、形式的にはデフォルトを免れるでしょうが、その結果もたらされるものは何ですか? 信用崩壊、通貨暴落、激しいインフレです。終戦後の日本と同じで、これは「事実上のデフォルト」と定義されるのが普通です。アジア通貨危機後の韓国や今回のギリシャのように、IMF等の債権者に緊縮財政を強いられるか、激しいインフレになるかの違いに過ぎず、国民経済に破滅的な影響を与えるという意味では同じこと。むしろ、デフォルトの方が債務減免やリスケも期待でき、債権者の管理の下でよりモデレートな再建の道が模索されるのに対し、ハイパーインフレは制御不能に陥りやすく、国民生活に対する影響が暴力的になりがちな分、文字通りのデフォルトの方がマシです。
あなた方は事あるごとに「お札を刷ればいい」と簡単に言いますが、その論理は中央銀行制度の否定です。政府にとって一番手っ取り早いのは政府紙幣の発行ですから。それに一度手を染めれば財政規律が失われ、通貨の信用は崩壊、慢性インフレとなり、国家経済と国民生活は破壊される。政府が勝手にお札を刷れないようにするために、まともな国では政府からの独立した中央銀行制度を設けているのです。

>(もし金融引き締めで簡単に対処できるなら、→)もちろんインフレは金融政策だけでは制御できないものもあります、しかし日本の場合は内戦や供給不足等によるスタブクレーションが起きる可能性は極端に低いと思います。勿論日本の場合は天変地異による供給不足に落ちいる可能性はありますが、全国規模で起こる可能性は低いですよね。

→前述のように、戦後日本のハイパーインフレの主因は供給不足ではなく、敗戦に伴う財政破綻ですから、話の前提が間違っています。日本の財政は主要国最悪で、政治のポピュリズムによって増税も歳出削減もままならないとなると、制御不能なインフレやスタグフレーションがいつ始まっても私は驚きません。

>(マネーをバラマキさえすれば、簡単にインフレになるんじゃなかったの?→)金融政策は需要喚起の手段です。言葉足らずでしたら申し訳ありません、景気回復の足を引っ張っているのが消費税と言いたかったのです。

→黒田バズーカで需要は全く喚起されませんでしたね。消費税増税後半年で消費は一旦回復しているので景気悪化の原因は消費増税とは考えにくいし、社会保障費や震災復興予算を含む国の歳出は安倍政権下で増え続けているので、公的需要は増えています。

(>今ごろ日本経済はこんな状態にはなってませんよ→)20年間GDPがほとんど伸びていませんよね、金融政策と増税の失敗は明かです。普通にやっていればGDP700兆円はいっているはずです。

→違います。クルーグマンも認めているように、国民一人当たりのGDP成長率でみれば日本は主要国との比較でさほど悪い成績ではなく、労働力人口一人当たりでみれば、むしろ好成績です。GDPが伸びない最大の原因は、高齢化と人口減により労働力が減り続けている一方、非労働力人口が増え続けていることにあるのです。

(>97年はアジア通貨危機に端を発する金融危機→)当時は緊縮財政で日銀は円高放置で消費税5%に上げたばかりですから東南アジア程ではないにしろ被害を被ったのは確かですが、余りにも無策でしたね。
金融機関は大変だったと思います。

→繰り返しになりますが、当時の景気悪化は、消費税増税とは無関係です。個人消費は増税半年後の97年10〜12月には一旦回復していましたから。その直後に始まった金融危機に伴って景気が急激に悪化していったのです。消費税増税を無理失理「犯人」にしたくて「緊縮財政」というのも事実として間違い。98年以降、政府は金融機関への公的資金注入に踏み切り、景気対策として財政支出額も赤字国債発行額も急増しています。また、当時の為替レートは95年ごろの1㌦=100円を切る円高をピークに97〜98年と円安に動いていますので、「円高放置」も事実に反します。
97年11月から三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券が相次いで破綻、翌年には長銀、日債銀まで破綻する未曾有の金融危機が起こった根本的な原因は、90年のバブル崩壊で金融機関が抱えた100兆円規模の不良債権です。アジア通貨危機は、その「ダム」が崩壊するきっかけになっただけです。当時の速水日銀の対応が後手に回った面は確かにありますが、それでも99年にはゼロ金利政策に踏み切っているし、日銀史上最大規模の特融や貸付も行いました。
これらの事実は、当時の統計や資料をきちんと確認すればわかることです。いい加減な言説を拡散して素人を欺き、目立つことでポジションを得ようとする三流評論家の言うことを鵜呑みにしてはいけません。




2016.05.26 04:07 | URL | 窓際記者 #- [edit]
>戦後の日本のインフレは原材料不足による供給不足が原因で金融政策ではないでしょう。
の反論の反論

戦後の供給不足という特殊事情の例を挙げて金融政策が間違っていたというのは無理がありますよね。戦後復興で需要が旺盛でそれに見合わない供給力ならインフレになるのは間違いないでしょう、物価の異常な上昇は1946年から起こっています、対前年比で通貨の大量発行が行われるのは1947年です。(日銀 戦後ハイパーインフレと中央銀行資料)
物資不足とマネーの供給という戦後の特殊事情をもってしてマクロ経済を語るのはどうなんでしょうか?

>、為替介入がいつでも自由にできる固定相場制の方が有利かもしれません

国際金融のトリレンマを理解されている方がマンデル=フレミング効果について触れないのは不思議ですね。どちらも物理のエネルギー保存の法則と同じように金融政策の基本理論ですよね。
何故為替介入がインフレ退治になるのか理解できません。
円安だと不況になって円高だと景気よくなるのですか、インフレは国内の需要と供給のバランスが崩れて起こる物です。
国内の消費者がドルで買い物するのでしょうか?
GDPの6割は国内消費です、為替変動で慌てるのは輸出入業者で為替変動で儲かる業種もあれば損をする業者もあるので為替変動でインフレ退治は無いでしょう?
円高誘導でマネーを吸い上げてインフレ対策ですか、効率悪すぎです。
固定相場で金融対策は効かないのはマンデル=フレミングの法則でおわかりの筈です。
それとも円高誘導が財政出動と同じ効果を持つとお考えですか?

>輸出が回復する前に国債がデフォルトしてしまいますよ。実際、ギリシャはユーロ加盟前からデフォルト常習国

対外債務を一気に償還する訳ではないでしょう?
利払いが出来れば一息つけますよね。

>信用崩壊、通貨暴落、激しいインフレです

日本は1千兆円の赤字国債を発行してますが、円安になっていますか?激しいインフレになっていますか?
海外で有事があれば円が買われるほど信用力があります。
先日の日経新聞には「日銀が買い上げた国債を預かり金として処理すれば借金は消える」と小さい記事ですが書いていましたね。そんなものです海外の投資家はそういう事が分かっているので相変わらず何かあると円を買うのです。国内の投資家もそうでしょう国債の価格が上がって利回りが低くなっているのが証拠です。
また、中央銀行はどこの国も政府の意向で動くものです、手段の独立性はありますが、勝手に動けば失われた20年の再来です。

>国民一人当たりのGDP成長率でみれば日本は主要国との比較でさほど悪い成績ではなく、

1990年から2010年までの20年間のGDPの増減を調べてみて下さい。
名目で107%、実質で120%の伸び率しかありません、20年ですよ、一時期の中国なら1年の成長率です、世界の中でも最低クラスですよね。
大した産業もない(金融は別)イギリスでさえ1990年から2010年までの20年間のGDPは名目で252%実質で149%です。
いかに日本が突出して低成長か分かりますよね。

>GDPが伸びない最大の原因は、高齢化と人口減

人口とGDPの伸び率に相関関係はありません、そういうデータも存在しません。
世界銀行の資料だと国名が記載されていないので具体的な国名は分かりませんが人口減でも一人あたりのGDPが伸びている国は沢山あります。

>当時の景気悪化は、消費税増税とは無関係です。

1997年橋本内閣が消費税を5%に上げましたがそれまで53.9兆円の税収がありました。翌年には49.4兆円、次の年は47.2兆円と税収が激減しています。
その頃からですよ国債発行が急増したのは…。
そして1996年の税収を上回るのは2016年を待たねばなりません。
これは因果関係が無いのでしょうか?
データ上無理がありますよね。
確かに1997年に幾つかの銀行が破綻していますがそれが税収減の全てと考えるのは無理があります。税収における法人税の割合を調べてみて下さい。
銀行はその後救済されていますよね、日銀は銀行から預かった預金を当座なのに金利を0.1%付けて保護して何年も経ちます。
20年も税収不足が続くのは銀行の金融破綻が原因ですか、GDPの伸びが足らないと考えるのが妥当だと思いますが。
2016.05.31 19:09 | URL | 勇者 #JyN/eAqk [edit]
「勇者」さんから三たび、反論や質問を頂き

した。これ以上反論するのはあまり意味がない気もしましたのでしばらく放置しておりましたが、勇者さんの熱心さにも敬意を表し、再々反論しておきます。

>戦後の供給不足という特殊事情の例を挙げて金融政策が間違っていたというのは無理がありますよね。

→先に紹介した伊藤正直教授の論文を読めばわかるはずですが、戦後ハイパーインフレの原因は、①戦中の日銀引受による戦時国債乱発とによる財政破綻②戦中戦後の物資や生産力の不足③日銀引受による復金債による復興資金供給ーー等の複合インフレでしょう。供給不足(②)だけが原因あるいは主因とするのは無理がありますし、学術論文でそのような評価分析は見つかりません。
金融政策が「間違っていた」かどうかは評価によりますが、1958年日銀調査局文書では、③についてより安定したペースで復興政策を行えば復興インフレはもっとマイルドになったはずで、その後の日本経済もより健全なものになっていたはずだーーと当時の日銀の金融政策を反省しています。主に復金債の日銀引受のことを指しているのだと思われます。

>物価の異常な上昇は1946年から起こっています、対前年比で通貨の大量発行が行われるのは1947年です。(日銀 戦後ハイパーインフレと中央銀行資料)

→事実誤認です。同資料の「図5 通貨発行高」を前年比で見る場合は注意が必要です。47年にグラフが上に跳ね上がっているのは、その前年に金融緊急措置(預金封鎖、新円切り替え、増税等)による急激な引き締めがあったために、その反動増でグラフが飛び跳ねているだけです。前月比で動きを細かくみれば、発行高が最も増えているのは45年央の終戦直後で、46年初頭の一時的な急減を経て本格的な復興期に入り、49年(ドッジ・ラインによる引き締め)に向けて徐々に落ち着いていったーーというのが、妥当な見方でしょう。
なお、この資料では45年以降のデータしか出ていませんが、日銀は戦中から政府が乱発した戦時国債を引き受けまくっていたので、通貨発行量の急増は戦中から始まっています。軍備増強と国債の日銀引き受けが始まった1932年の「高橋財政」以降、通貨供給量の増加につれて物価も上昇していった、というのが通説です。

>マンデル=フレミング効果について触れないのは不思議ですね。何故為替介入がインフレ退治になるのか理解できません。円安だと不況になって円高だと景気よくなるのですか、インフレは国内の需要と供給のバランスが崩れて起こる物です。国内の消費者がドルで買い物するのでしょうか?GDPの6割は国内消費です、為替変動で慌てるのは輸出入業者で為替変動で儲かる業種もあれば損をする業者もあるので為替変動でインフレ退治は無いでしょう?円高誘導でマネーを吸い上げてインフレ対策ですか、効率悪すぎです。固定相場で金融対策は効かないのはマンデル=フレミングの法則でおわかりの筈です。それとも円高誘導が財政出動と同じ効果を持つとお考えですか?

→はっきり言って支離滅裂です。マンデル=フレミングはひとまず置いておいて、変動相場制下で通貨価値が下落すれば(円なら円安)、輸入物価上昇を通じて国内物価が上昇し、反対に増価(円高)すれば、輸入物価の下落を通じて物価が下がることは、イロハのイです。学部教養課程レベルの「経済学の基礎」からやり直してください。黒田日銀の量的緩和の隠れた狙いが円安誘導なのは明らかで、アベノミクスが始まってからの物価上昇要因の大部分は、国内需給要因ではなく、円安効果によるものです(内閣府や主要民間シンクタンクから同趣旨の要因分析結果がたくさん出ています)。反対に円高ならデフレになります。「為替変動でインフレ退治は無いでしょう」って、普通にありますよ。為替操作の「方法」が金融政策(金融緩和や引き締め)か為替介入か、の違いがあるだけです。
さて、マンデル=フレミングです。あなたが盛んに言及している(らしき)ことは、固定相場制下の金融政策や変動相場制下の財政政策は「無効」とされていることのように見受けられますが、マンデル=フレミングモデルというのは、①国際資本移動が完全に自由②資本移動は金利のみで起こる③経常収支は内外の産出量・為替レートのみで決定される④資本収支は自国と他国の金利差によってのみ決定されるーーという、単純化した前提に立つ「理論モデル」に過ぎません。現実の政策分析に用いるには開放小国の短期分析くらいにしか役に立たない代物です。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マンデルフレミングモデル
理論が「間違っている」というより、そもそも理論モデルというものは様々な仮定や前提条件の枠を嵌めないと成立しないものです。実際の経済が一つの理論モデルだけで動くことはまずありません。現実を構成する様々な要素や原理の一つを説明しているに過ぎないからです。
考えてもみてください。なぜ現実の世界では変動相場制下の財政政策も、固定相場制下の金融政策も現に存在し、それなりの意味を持ち続けているのですか? 世界中の政策当局者が馬鹿だからですか?当局者のブレーンには経済学博士や修士がゾロゾロいますよ。
たとえば日本では公的債務が増え続けていますが、長期金利は上がっていません。今は日銀が国債を大量に買い入れているからですが、黒田バズーカ以前から金利は永らく低位のままでした。つまり日本は変動相場制ですが、永らくマンデル=フレミングの「財政政策は無効」という法則は働いていないということです。
余談ですが、もし本当に変動相場制下では財政政策が無効なら、逆に消費税増税等の緊縮財政をやっても(金利低下のプラス効果で相殺されて)需要面のマイナス効果も無効になるはずなので、日本は緊縮財政を怖がらずにやるべきだ、という結論になりませんか?
もちろん、実際には日本はこれ以上の金利低下は見込めないから、そんな話にはならない。つまり、現在の日本経済を説明するためにはマンデル=フレミングの法則は役に立たないということです。
固定相場制を考えても、マンデル=フレミングモデルは国際資本移動が完全に自由なことが前提ですから、中国やロシアが実際にやっているように資本移動を規制をやれば、マンデル=フレミングの前提が崩れますから、金融政策は無効ではなくなります。
さらに付言すれば、貨幣数量説を理論的根拠とする量的緩和政策も実際には全然機能していないですよね。リフレ派は「消費税増税のせいだ」と言い訳していますが、その釈明自体、現実の経済は一つの理論通りには動かないことを認めていることになりませんか?
もうお分かりのはずですが、マンデル=フレミングモデルだけで説明できる実体経済など現実の世界には殆ど存在しないのです。
社会科学における「理論」は特にそうですが、一つの原理や法則だけで現実の動きを説明し尽くせるものなどないのです。経済学の殆どの理論は、各論的な要素や傾向を説明しているに過ぎません。基礎理論を理解しておくことは大事ですが、現実の経済に使う際には各理論を相対化するバランス感覚が必要です。

>(>輸出が回復する前に国債がデフォルトしてしまいますよ。実際、ギリシャはユーロ加盟前からデフォルト常習国)対外債務を一気に償還する訳ではないでしょう?
利払いが出来れば一息つけますよね。

→一息つく前にデフォルトするって言っているんですが。利払いができなくなるからデフォルトするのですよ。

(>信用崩壊、通貨暴落、激しいインフレです)日本は1千兆円の赤字国債を発行してますが…
→揚げ足取りではないですが、国債発行残高のおよそ3分の1は建設国債として発行されたものなので、全てが「赤字国債」ではないので、「1千兆円の赤字国債」は間違いです。そもそも国債が「赤字」か「建設」かは財政法上の区分に過ぎず、流通してしまえば赤字、建設の区別はないので、発行残高を赤字、建設に分けて考えることは無意味です。

(…円安になっていますか?激しいインフレになっていますか?海外で有事があれば円が買われるほど信用力があります)
→今までがそうだからといって、今後、潮流が突然変化しないとは限りません。為替や債券のディーラーたちの大勢が今すぐ日本が財政破綻することはないと思っているだけのことです。当面、日本国債は利幅は薄いものの日銀が確実に買い取ってくれる安全商品とみなされているので、リスクオフ時には資金の一時避難先として条件反射的にカネが集まっているだけです。財政破綻がまだ意識されないのは、増税余地があると見られていることもあります。しかし、それが政治的にやれないと市場が疑い始めれば、話は違ってくるでしょう。財政破綻が意識されてしまえば、短期間で国債も円も暴落する可能性は否定できません。ギリシャ国債の破綻リスクを示すCDSスプレッドは財政粉飾が露見する2009年以前まではアイスランドより低く、イタリアやポルトガルともほとんど差はありませんでした。
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je12/pdf/p03011.pdf

日銀の大量の国債買い入れにより、既に日本の国債市場は市場原理の外にあり、市場がアラート機能を失っているとの指摘もあります。戦前戦中に大量発行された国債は日銀引受によって順調に消化され、終戦までは金利も低位安定していた。現在もこれと同じ状態である可能性は否定できません。
http://www.nri.com/jp/opinion/chitekishisan/2005/pdf/cs20050702.pdf


>先日の日経新聞には「日銀が買い上げた国債を預かり金として処理すれば借金は消える」と小さい記事ですが書いていましたね。そんなものです。
→記事を探しましたが、見当たりません。記事検索可能な正確な情報をお示しください。
それがもしあなたの解釈通りなら驚くべき錬金術です。「バーナンキの背理法」ではないが、もし会計処理だけで「国の借金が消える」なら、無税国家が可能になります。中央銀行が国債を無制限に引き受けてもインフレが発生しないなら、全ての国家は財政需要を全て国債発行で賄い、その全額を中央銀行が引き受ければ魔法の杖のように税源をいくらでもタダで確保できることになります。本当なら、とっくに世界中の全ての国が採用し、全世界が無税国家になっているはずです。そうなっていないのは、そんなバカなことはあり得ないからです。

(1990年から2010年までの20年間のGDPの増減を調べてみて下さい。名目で107%、実質で120%の伸び率しかありません…世界の中でも最低クラス)
→90年代の低成長は政策対応のまずさもあったでしょうが、いずれにしても90年代はバブル崩壊で100兆円の重石(不良債権)を抱えていたわけですから、「失われた10年」は不可避だったと思います。
また、90年代の日米の成長率格差の原因は労働投入の差、つまり日本の雇用減少という分析もあります。98〜99年の金融危機に伴う倒産やリストラが主因でしょう。これはバブルの後始末の結果です。00年代以降とは原因が異なるので、一緒くたに語るのは分析的でないと思います。
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/motohashi/01.html

(人口とGDPの伸び率に相関関係はありません、そういうデータも存在しません。世界銀行の資料だと国名が記載されていないので具体的な国名は分かりませんが人口減でも一人あたりのGDPが伸びている国は沢山あります)
→人口減でも一人当たりGDPが伸びている国の一つが日本だと言っているんです。反論になっていません。
一般論で言えば、人口規模が大きければ「規模の経済」が働くため、経済成長には有利です。人口大国の多くが経済大国や成長著しい新興国であることがそれを証明しています(もちろん経済は人口規模だけで決まるわけではないので、バングラ、パキスタンなどの例外もありますし、逆にシンガポール等の人口小国・経済大国もありますが)。
人口規模ではなく人口増加率と経済成長率の間にも「緩やかな相関関係がある」というのが一般的な理解。なお、一人当たりGDPについては人口規模や増減率との相関関係はありません。
以下は十年以上前のものですが経済財政白書ですが、その辺りが詳しく分析されています。
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je03/03-00302.html

ただし、日本の人口問題のポイントはそこではありません。端的に言えば「減少速度の速さ」です。戦争を除き、これほど急速に少子高齢化が進み、年齢構成が逆ピラミッド型になってしまった社会は歴史上ほとんど前例がないという点です。つまり、前例がないレベルの「人口オーナス」問題です。年金生活者の割合が増えていけば、労働力率は低下し、高齢者福祉のレベルを維持するだけでも支える側(勤労者)一人当たりの負担が増えていくという単純な算術の問題ですね。この構造問題を放置しているため、潜在成長率や一人当たりGDPの維持さえ困難になりつつあるのが、今の日本経済の姿です。
2000年代の生産年齢人口変化率とインフレ率には相関関係があるとのデータもあります。インフレ率と名目成長率には相関関係があるので、生産年齢人口の変化率と名目成長率も相関関係があるはずです。生産年齢人口は1990年代から低下し続けていますが、これがデフレの一因、もしかしたら最大原因かもしれません。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120530a2.pdf
→図表14

>(>当時の景気悪化は、消費税増税とは無関係です)1997年橋本内閣が消費税を5%に上げましたがそれまで53.9兆円の税収がありました。翌年には49.4兆円、次の年は47.2兆円と税収が激減しています。その頃からですよ国債発行が急増したのは…。そして1996年の税収を上回るのは2016年を待たねばなりません。これは因果関係が無いのでしょうか?データ上無理がありますよね。確かに1997年に幾つかの銀行が破綻していますがそれが税収減の全てと考えるのは無理があります。税収における法人税の割合を調べてみて下さい。銀行はその後救済されていますよね、日銀は銀行から預かった預金を当座なのに金利を0.1%付けて保護して何年も経ちます。20年も税収不足が続くのは銀行の金融破綻が原因ですか、GDPの伸びが足らないと考えるのが妥当だと思いますが。

→いまだにこれと似たような完全に間違った解説をしている評論家がいるのは、本当に困ったことですね。
まず、金融危機というものは金融機関だけがダメージを受けるものだとお考えなら、経済を知らなさ過ぎます。金融は経済の血液。血液や血管がダメージを受ければ、全身がダメージを受けるんですよ。実際に98〜99年にも全国で貸し渋りや貸し剥がしが起こって倒産が増加し、2年連続のマイナス成長に陥ったのです。金融機関の破綻だけでは済まなくなるんですよ。法人税収や個人所得税収は落ち込んで当たり前です。
その後も総税収が伸びない理由は「GDPが伸びないから」ではありません。税制が同じで名目GDP伸び率がほぼ横ばいなら、税収もほぼ横ばいで推移しないとおかしいのです。実際の所得税と法人税の税収は横ばいどころか大きく減少しています。それは98年以降、所得税も法人税も段階的に大幅な政策減税が行われてきたからです。
国内企業の経常利益総額は2004年に89年のバブル時代のピークを超え、その後も過去最高益を何度も更新。2011年には89年の1.5倍に近い水準に達している。それなのに法人税収はいまだにそのピークを超えていない。これは法人税率が大幅に引き下げられたからです。
所得税も然り。名目国民所得(GNI)も名目GDPと同様に00年代以降はほぼ横ばいなのに、所得税収は落ち込み続けている。こんなことが起こる理由は、減税しかありえません。

なお、この件については、私のこのブログでも過去に詳しく論じていますので、興味があればそちらもご覧ください。コメント欄には「高橋洋一」さんからも繰り返し質問やら中傷やら脅しが来ていて、なかなか面白いですよw
http://fukutyonzoku.blog.fc2.com/blog-entry-11.html?sp
http://fukutyonzoku.blog.fc2.com/blog-entry-40.html?sp
http://fukutyonzoku.blog.fc2.com/blog-entry-41.html?sp
http://fukutyonzoku.blog.fc2.com/blog-entry-59.html?sp
2016.06.22 15:09 | URL | 窓際記者 #- [edit]

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