NHKスペシャル「病の起源」第4集心臓病

Posted by fukutyonzoku on 03.2013 医療 1 comments 0 trackback
NHKスペシャル「病の起源」第4集 心臓病 ~高性能ポンプの落とし穴~をみた。
http://www.nhk.or.jp/special/sp/detail/2013/1027/

世界保健機関(WHO)によれば、世界の死因トップが心臓病。日本でも過去30年間に発症率が約3.5倍に増えている。私たちは、なぜ心臓病になるのか。その答えは、進化に隠されている、という。

約2億2千万年前に誕生した哺乳類は、心臓の筋肉を強力にし、その筋肉に血管を張り巡らせたことで、高い運動能力を手に入れ、繁栄を勝ち取った。しかし人類は、700万年前に独自の進化の道を歩み始めたことで、自らの心臓を翻弄させる事態を生み出したという。
まず直面したのは、直立二足歩行による重力との闘い。足に血液がたまりやすくなり、脳が血液不足になるのを防ぐために、心臓は負担を強いられるようになった。
人間は直立するとヘソから下に血液の3分の2がたまるが、足の筋肉を動かことで足の血管が自然に伸縮し、血液の流れを助けてくれるようにできている。つまり、心臓の補助ポンプの役割を果たし、心臓の負担を軽減させてくれるのだ。心臓病などのリハビリで歩行訓練が重視されるも、このためである。原始時代より運動量が激減したうえに、栄養状態の向上で身体も大きくなり、あるいは太ってしまった現代人の心臓の負担は増しており、心臓病になるのは自然の成り行きだというのだ。

また、250万年前頃から始まる脳の巨大化は、人類に高度な知性と文明化をもたらしたが、一方で心臓の血管が詰まる心筋梗塞のタネを生み出してしまった。
血管にコレステロールが溜まる原因物質としてGcという物質が発見されている。実は人間以外の哺乳類は体内にもともとGcがある。このため、人間が哺乳類の肉を食べることでGcを体内に取り込むことになる。このGcが人間の身体内に入ると免疫機能が異物として反応し、血管の内側を傷付け、炎症を起こす。炎症が起きるとコレステロールが溜まりやすくなり、動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなるのだという。
なお、人間以外の哺乳類には心臓病は見られない。肉食動物がいくら他の哺乳類の肉を食べても心臓病にならないのは、もともと体内にGcを持っているので免疫反応が起こらないからだという。
Gcは脳内神経の発達を抑制する作用があることがわかっており、哺乳類の中で人間だけがGcを失ってしまったのは、脳の進化と関係があるのではないかという。いわば、人類は進化の代償として心臓病の宿命を抱え込んでしまったとも言えるという。
また、胎児期に栄養不足になると、脳の発達が優先されて心臓の発達が犠牲となり、本来より細胞が少ない心臓になってしまうという。生まれてから栄養状態がよくなっても、心臓の細胞はもはや増えず、大人になってからの心臓への負担が大きく、心臓病になるリスクが高くなることが知られている。
第二次世界大戦後の食料不足時代に生まれた世代は現在60代後半になっているが、欧州(おそらく日本も)のこの世代の心臓病の罹患率は高いのだという。

Gcとは?

番組の概要は以上だが、Gcというのは初耳で、番組ではGcやこの学説については説明不足の感が否めなかった。少し調べてみると、どうやらN-glycolylneuraminic acid(N-グリコリルノイラミン酸:Neu5Gc)のことのようだ。
http://blog.goo.ne.jp/dbqmw440/e/6820ce33fabc53109ead199af5df85ef

Nスペがいうほどの有力な学説なのかどうかは知らないが、専門家からは番組に対して批判の声も上がっている。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=529326343818147&id=396644500419666&__user=100003363966465
確かに、この崎谷医師が批判するように、食肉が心臓病の原因だとすれば、エスキモーなどの生肉だけを食べている民族になぜ心臓病が少ないのか、との疑問が起こる。しかし、イヌイット等のエスキモーについては、同じ哺乳類でもアザラシを多く食べる。アザラシの肉には青魚同様EPA、DHPが豊富に含まれており、これが血液をサラサラに保ち、動脈硬化を防いでいるとの疫学調査がある。
また、前記ブログ記事では、Neu5Gcは「子羊、牛、豚」肉に多く含まれる、とある。哺乳類の種類によってもGcの量には差があり、アザラシや白熊のような海洋生物を食べている哺乳類の体内Gcの量は極めて少ないという可能性もある。
いずれにしても、番組が原因物質としてGcにのみスポットを当ててしまったのは、ややバランスを欠いた取り上げ方だったのではないかと感じる。Gc説はデタラメとは言い切れないまでも、それが心臓病の最大の原因だと紹介できるほどの有力な学説なのかどうか。運動不足と糖質の過剰摂取による太り過ぎ、医療の進歩による長寿、あるいは様々な化学物質の摂取等による複合的な影響、とみるのが現実的なのではないかと感じる。
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