新成長戦略シンポジウム(その2止)

Posted by fukutyonzoku on 06.2014 公共政策 0 comments 0 trackback
(その1から続く)
別所
:今回導入したKPI(key performance indicator / 重要業績評価指標)について。

伊藤:いろんな政策分野で数値目標を採り入れる以上、数字の根拠をどうしても問われる…ただ、本当のKPIにはなっていない。

竹中:KPIは去年私と三木谷さんが提案した。実は民主党政権下でもKPIはやっていたのだが、フォローアップをしなかった。今回はちゃんとやる。

別所:農業改革について。

竹中:フィーチャーシステムの金丸さんがもの凄く頑張り、新浪さんもサポートした。農政は与党の部会で認められないと何も動かない世界。農協改革は半世紀ぶりの大改革で、大きな成果だ。
農地は各地の農業委員会が認めないと動かない。ここは農民のボスみたいのが牛耳っていて、農地を使わせない。だから休耕地や農作放棄地がドンドン増えている。(中山間地の農業改革のモデルケースとして国家戦略特区に指定された兵庫県)養父(やぶ)市の改革を突破口にしたい。
ただ今回は農業生産法人には手付かず。現在は企業が農業に参入するためには農業生産法人を設立しなければならないが、株主要件に農民が○人以上という規制がまだある。
オランダの国土面積は日本の9分の1だが、米国に次ぐ世界第2位の農産物輸出大国だ。日本にできないはずはない。


伊藤:農業は現実には規制派は少数派になりつつある。私はTPPの政府内での議論でプロ農家と言われる方々と親しくなったが、彼らはTPPはいいチャンスだと歓迎している。

関口:岩盤規制と言われるものの中で、医療は本当に岩盤だが、農業や雇用は実際には崩れていると感じる。農業の現場の人は、担い手がいない現実、コメ消費が減り続けている現実をわかっている。大規模化や輸出産業化が避けられないことも。

別所:医療について。

竹中:岩盤規制の典型が医療と農業だ。1979年に琉球大学に医学部が出来て以来35年間、要望があるにもかかわらず、日本の大学に医学部は一つも新設されていない。35年間新規参入がない業界なんてロクな業界ではない(笑い)。医師会が競争相手となる医師数が増えることに抵抗しているからだ。医師不足の方が医者は居心地がいいんです。OECD平均の医師数は人口1000人当たり3~6人。日本は2人。明らかに少ない。特に東日本が少ない。増やすしかない。

関口:人口当たりの医師数は確かに西高東低。戊辰戦争に遠因があるという説も(笑い)。

伊藤:高齢化がさらに進むので、財政問題としては医療費の膨張は今後、年金以上に最大の問題となる。

関口:医療費が財政に相当な負担をかけているのは、ユーザーチェックが働かないからだ(情報の非対称生が大きいから?)。だから長期入院、長期診療、長期投薬がなくならない。以前やったレセプトの完全透明化は骨抜きにされた。

別所:言い足りないことがあれば。

伊藤:雇用について。IKEAはアルバイトの時給を1000円から1500円に上げ、ユニクロは地域限定社員を導入した。あるIKEAのアルバイトの方に話を聞いたが、その人は英語、フランス語、スペイン語がペラペラ。でも仕事以外にやりたいことがあって、労働時間の長さを嫌ってアルバイトを選択している。時給が上がったのは助かると喜んでいたが。ユニクロでも子供を保育園に迎えにいかなくてはならず10時から4時までしか働けないからとアルバイトを選択している女性の話を聞いた。そうした多様な働き方が広がることは基本的にいいことだ。

竹中:女性の労働力率が改善されれば、その瞬間にGDPが16%拡大するとの試算もある。単純計算だが。女性の労働力率が上がらない一因に、ハウスワーク(家事労働)のビジネスがないという問題もある。日本にも戦後間もなくまではメイドがいたが、今は制約が多い。ハウスワークとエルダリーケア(介護)の分野に今回外国人を入れることにした。東京都はやる気がないようだが(笑い)。
規制改革は、基本的に短期的には痛みを伴うかもしれないが、長期的には利益が大きいというものが対象。高齢者は長期的利益は受けられないので、抵抗が強くなる傾向がある。政治的には短期的利益に配慮しながら、どう長期的利益を図るか、そのバランスの問題だ。
歳入庁については、みんなの党の浅尾代表が国会質問で公表した試算によると、歳入庁がないことによる社会保険料の徴収漏れは10兆円に上るという。歳入庁は大賛成。英米にもある。ただ政治的には非常に難しい。税金を取ることは大きな権力の源泉。恐らく国税庁が内閣府に移されることになるので、財務省の抵抗が大きい。

関口:医療でいえば、抵抗勢力の医薬品メーカーもだいぶ変わってきた。今後は病気にならないように予防医療やヘルスケアが成長分野で、そこに力を入れ始めている。
それと、先ほど雇用流動化で「運動会型」はやめようという話をしたが、今回の成長戦略では在宅勤務やテレワークが一言も入っていないのは問題。グローバル戦略もない。

竹中:内閣府政務官の小泉進次郎さんが「2020年の東京五輪の後は『見たくない現実』が一気に押し寄せる」と言っていた。総理はダボス会議で「4つの約束」を国際公約したが、次の段階の約束が必要かもしれない。今回の成長戦略はよくも悪くも経済産業省主導。従って金融分野が弱い。
それと、コンセッション(民間企業への公共施設等運営権譲渡)契約は、10年で3兆円だったのを3年で3兆円と大幅に目標を前倒しした。大阪は地下鉄や高速道路などで既に始まっている。宮城県の村井知事は仙台空港のコンセッション契約を決めた。オーストラリアではコンセッション契約を「資本のリサイクル」と呼んでいる。英国の代表企業はBAやBTだが、いずれも元国営企業。日本でもトヨタは別格としてもドコモやauは元々電電公社などの国営企業。ソフトバンクでさえ元国営企業がルーツの一つだ。ただ国営企業の民営化は公務員の抵抗が強いが、次の骨太の成長戦略だ。

伊藤:ソフトバンクがスプリント買収の際、孫さんに「大丈夫なの?」と聞いたら、「ここでやらなきゃ男の子じゃない」と。日本は金がジャブジャブ余ってるのだからリスクを取らないと日本はダメになる、と。至言だ。
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