自国民の命を守らず他国軍の善意に依存する日本という国家

Posted by fukutyonzoku on 16.2015 政治・経済 0 comments 0 trackback
今回の安保関連法の成立によって、自衛隊員やその保護者たち、護憲派の法律家らの間から「自衛隊が危険な紛争地域へ派遣されるのは約束違反だ」との声が上がっているそうだ。しかし、自衛官に代わって外交官や民間人が紛争地で過去に何人も命を落としている。「退避勧告が出ているのに、勝手に入っているので自己責任だ」と突き放して済むケースばかりではない。2000年からだけでも計238人の日本人が11カ国の軍用機や艦船などで救出されてきた。

テヘラン在留邦人215名を救出したトルコ航空

1985年、イランと戦火を交えていたイラクのサダム・フセイン大統領(当時)が48時間の猶予の後、イラン上空の航空機を無差別攻撃すると宣言。各国は一斉に軍用機や民間機でイラン在留自国民の救出に向かった。
ところが、日本には当時、自衛隊が海外在留邦人を救出する法的規定がなく、社会党が「自衛隊機を海外に飛ばせば侵略戦争につながる」と反対。政府がフライトを要請した日本航空も「安全が保証されていない」と労組が反対したため、救援機を飛ばせず、200名以上の邦人がテヘランに取り残された。攻撃開始1時間前のギリギリのタイミングで彼らを救出したのは、親日国トルコだった。
日本の懇請を受けてトルコ航空は自国民救出のための最終便を2機に増便。陸路脱出可能とみた自国民500名を残して邦人215名を優先的に救出した。

イエメン内戦で日本人観光客96人を救助した独仏伊軍

元外交官の岡本行夫氏の国会証言によれば、1994年、イエメンの内戦で96人の日本人観光客が孤立したとき、救ってくれたのはドイツ、フランス、イタリアの軍隊だった。さらには今年4月にも内戦状態が悪化したイエメンから日本人観光客1人が中国人と共に中国人民解放軍の軍艦で救出されたことが明らかになっている。

バグダッド大使館に武官がいない日本

2003年にはイラクで外交官2人が車で移動中、何者かに襲撃され命を落としている。岡本行夫氏によれば、イスラム国(ISIL)との戦闘の最前線であるイラクの首都バグダッドの日本大使館には、なんと自衛隊出身の武官が一人もいない。バクダッドは戦闘が行われている「危険地域」になってしまったので、自衛隊は武官を派遣したくても法的に許されないのだ。もちろん主要国の駐バクダッド大使館で武官がいないのは日本だけ。文官では同盟国間の軍人同士のネットワークにも入れないため、危険情報の入手においても日本の外交官たちは他国より危険な状況に置かれているという。

日本のタンカーを守って戦死した米国軍人

 2004年4月、日本の30万㌧タンカー「高鈴」(TAKASUZU)がイラクのバスラ港沖で原油を積んでいた際、自爆テロボートに襲われた。そのときに身を挺して守ってくれたのは、米海軍軍人2人と米沿岸警備隊員1人だった。彼らは日本のタンカーを守って死に、本国には幼い子供を抱えた家族が残された。
1987年、イランの攻撃から湾内の商船隊を守るための国際護衛艦隊が組織され、日本も参加を要請されたが、憲法9条の政府見解に縛られる日本は、護衛対象の7割が日本関係船舶であったにもかかわらず、参加は集団的自衛権の行使にあたるとして断った。以来、米国、英国、フランスなどの艦隊が日本船の護衛に当たっている。

リビア内戦でも邦人救出したのはスペイン軍機や米韓チャーター船

一連の「アラブの春」で起きた2011年のリビア内戦でも一時、7人の民間人を含む在留邦人が取り残される場面があった。大勢の日本人の大使館職員や商社マン、電機メーカー社員らがスペイン軍機や米国や韓国が手配したチャーター船、エジプトのチャーター機などで救出されている。中国人民軍はフリーゲート艦を、韓国国防部は駆逐艦までリビアに急派。海外在留の自国民を見捨て、外国の善意に依存している主要国は日本だけだ。
7人のリビア邦人 なぜ政府は救えない~飛べない自衛隊 外国依存の邦人救出

アルジェ人質事件でも身動きできなかった自衛隊

2013年1月にアルジェリアの天然ガス精製プラントで起きた人質事件は、イスラム過激派の武装集団に拘束された日揮関係社員の日本人10人を含む48人が犠牲となった。結果的にはアルジェリア軍が人質救出作戦を展開したが、関係各国の軍も特殊部隊を現地に派遣し、要請があれば共同作戦を展開すべく、待機していた。
日本は、ソマリア沖の海賊対策としてジプチに駐留している陸自のレンジャー部隊派遣を検討したが、法的に不可能と判断し、断念。この事件を機に、自衛隊による邦人の陸上輸送を可能とする自衛隊法改正が行われたが、日本人救出のための戦闘行為は、仮に現地国からの要請があったとしてもできないし、今般の安保関連法整備に伴う改正自衛隊法施行後もできない。

国民の命より憲法解釈が大事?

我が国政府は、自国民保護という国家として最低限の義務さえ果たさず、結果的に海外在留邦人125万人の生命は、外国人の善意に依存する状態が今も続いている。現実の国際情勢を無視した理想論に過ぎない憲法9条と、現実との折り合いを付けようと無理を重ねてきた政府解釈に縛られて、自衛隊を「危険な現場へ行かず、戦闘もしない」張りぼての軍隊もどきのままにしておいて、我が国民は本当に納得しているのだろうか。こうした現実を知らない、或いは「他人事」のような感覚で見て見ぬ振りをしているだけではないのか。憲法の政府解釈や東シナ海の無人島を守ること(漁業権益や将来の石油採掘等の財産上の国益や政治的な意味合いはもちろん小さくないが)以上に、自国民の命を直接守ることは国家として遥かに重要な職責のはずだ。
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