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加計学園の獣医学部新設が「日本の国際競争力を強化する」という世迷い言

Posted by fukutyonzoku on 29.2017 政治・経済 0 comments 0 trackback


農業生産は日本のGDPの1%にも満たない(2015年で0.87%)し、畜産業はさらにその35%だ。就業人口6500万人のうち農業(202万人)が占めるウエイトは3%余りだが、専業農家や農業がメイン収入である1種兼業は「農家」全体の1割余りしかいないので、200万人や3%という数字にはあまり意味がない。
これに対し、例えば東京大学の農学部の学生は全体(約1.4万人)の4.5%(約630人)を占めており、札幌農学校が前身の北海道大(約1.2万人)に至っては農学部、畜産学部を合わせて8%近く(約930人)に達する。全国の大学でも「生物資源~」とか「生命科学~」などの名を冠した農学部に隣接する学部も増えており、全体として定員ウエイトは1%を優に上回っているだろう。

「歴史と伝統」という名の前例踏襲の結果、教育への資源配分が歪んでいるのではないか。少なくとも現状の畜産系や獣医系を含む農学系の定員や予算配分は、生産力や雇用吸収力に比べて手厚すぎるのだ。
食糧安保論や環境保護論、歴史文化まで持ち出し、産業の枠だけでは括れないという考え方もあろうが、「農業」は近世以前はどの国も主力産業であり、産業として永く重要であった結果として文化にも影響を与えたのである。本来の産業としての機能を失えば、国立公園や自然博物館で細々と保存するしかなくなる。

教育を国家の先行投資と捉えるなら、今の日本にとっては残念ながら一次産業は投資効率の悪い投資先だ。もし「日本は農業大国、畜産大国になりうる潜在的可能性があり、国家成長戦略として育成する」という明確な国家の見通しと意思があるのなら、教育財源の傾斜配分はあってもいいが、日本の農業や畜産業にそれほどのポテンシャルがあるとの説はあまり聞かないし、現実にも衰退の一途だ。安倍政権はそんな趨勢を逆転させる成長戦略を描いているかといえば、それもない。むしろ廃業が相次いでいる畜産・酪農産業を放置し、JA改革等によりリストラ(効率改善)を図ろうとしている。先日大筋合意したEUとのEPA(経済連携協定)交渉でも、チーズの関税撤廃時期を先送りするのが精一杯だった。日本の畜産酪農業を本気で守り育てるシナリオが安倍政権にあるとは到底思えない。そうした政策の方向性の中で獣医だけ増やしてどうするのか、という疑念が消えないのは当然だろう。

国家戦略特区の狙いは、あくまで「産業の国際競争力強化」「国際的な経済活動の拠点形成」なのだ。本気で国際水準のライフサイエンスや創薬の研究者を育成するなら、ポテンシャルの高い東大や北大に思い切って教育資源を集中させるべきではないのか。言っては悪いが、偏差値が50以下でしかない加計学園岡山理科大に、獣医教育における日本最高レベルの教員スタッフとポテンシャルの高い学生を集められるのか。
また、日本に3.9万人しかいない獣医の質と量を改善したところで、それが畜産や創薬、さらには日本経済を活性化させる起爆剤になるだろうか。そもそも創薬等のビジネスとの関わりでいえば、獣医は安全性評価や動物実験の際の毒性試験などに関わるだけで、脇役でしかない。研究開発の補助的な役割を担っているだけである。今では多くの製薬メーカーがその役割を外部の受託臨床試験機関(CRO)に委託している。その毒性検査の仕事に獣医免許は必要なく、獣医以外にも薬剤師や畜産学部出身者ら様々な経歴のスタッフが担っているという。そこに現在は1割程度しかいないという獣医師を増やしても、検査の質を高めることができるのか。もしできたとして、それが日本の国際競争力の強化に繋がるのか。相当に飛躍のある論理としか思えない。
バカも休み休みにしてくれ、と言いたくなる。
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